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建設業経理士と経審の評点との関係



先日の記事で、『経営事項審査』(通称:経審)がどういったものかを説明してきました。
今回は、その経審と建設業経理士という資格の関係性について、見ていきたいと思います。

経審の評点に関係するのは2級以上

建設業経理検定は、1・2級の『建設業経理士』と3・4級の『建設業経理事務士』の2つに大別することができます。

このうち、経営事項審査(経審)の評点に直接影響を与えるのは『建設業経理士』、すなわち2級以上です。3級までの『建設業経理事務士』は、一定水準の建設業経理に関する知識を持ち合わせていることを就転職や社内での昇進等で証明することはできますが、経審の評点を直接アップさせることはできません。

また、同じ『建設業経理士』であっても、経審では2級合格者と1級合格者との間に明確な差が設けられています。

従って、経審のことを考えたときには、最低でも2級、可能であれば1級を目標とするのがよいでしょう。

経審における建設業経理士の扱い

経審では、様々な観点で建設業を客観的に評価し、点数化していきます。
その中で、建設業経理士に直接関係するのは社会性等を評価するW評点項目のうち、「W5:建設業の経理の状況」と呼ばれる以下の2つの項目です。
  • 監査の受審状況(最大20点)
  • 公認会計士等の数(最大10点)
建設業を営む事業者内の建設業経理士の数及び建設業経理士の役割によって、上記の項目の点数が増えていく形となります。

監査の受審状況

1つ目は「監査の受審状況」です。 端的にいえば、“適正な経理が行われているかのチェックを受けているか”という項目です。

最高点の20点を獲得できるのは会計監査人を設置することですが、これは上場会社と同じように公認会計士または監査法人による会計監査を受けることを意味します。
すでに上場していたり、その他の理由で監査法人による監査を受けているのであればいいのですが、そうではない場合、経審のためだけに数百万円から数千万円を払ってまで監査を受けて評点を上げることにどこまでの意味があるのかは、疑問が残ります。

次に高い10点を獲得できるのが会計参与設置会社です。
会計参与とは、平成18年の会社法施行に伴い新設された役職で、取締役と共同して計算書類(財務諸表)の作成を担当する役職です。 会計参与になれるのは、公認会計士もしくは監査法人また税理士もしくは税理士法人に限られており、建設業経理士試験に合格するだけでは会計参与にはなれません。
また、会計参与設置会社になるためには、定款で会計参与設置会社であることを定めたうえで、税理士さん等に会計参与という役職に就いてもらう必要があり、単に「うちは決算を税理士さんにお願いしている」というだけでは、会計参与設置会社にはならない点に注意が必要です。

最後に2点を獲得できるのが自主監査です。 建設業の経理が適正に行われたことに係る確認項目に従って、自社内の経理実務責任者が確認・署名することが要件となっています。
この自主監査を行って自署できるのは、公認会計士・税理士のほか、1級建設業経理士の合格者です。
したがって、社内の状況にもよりますが、1級建設業経理士になって自主監査を行えば、この項目で2点を獲得することができます。

公認会計士等の数

もう1つの項目が「公認会計士等の数」です。
制度上、名称が「公認会計士等」となっていますが、この“等”の中には税理士や建設業経理士(1級・2級)も入っています
よほどの大企業でない限り、社内に大勢の公認会計士や税理士がいる訳ではないでしょうから、実際に評点に繋がる方の大多数が建設業経理士の合格者でしょう。

この項目の評点ですが、計算が若干複雑になっています。
以下の図も一緒にご覧になって下さい。

公認会計士等数値の計算

まず、第1段階として公認会計士等数値というものを計算します。
この数値は、自社で勤務している公認会計士・会計士補・税理士・1級建設業経理士は1人につき12級建設業経理士は1人につき0.4とカウントします。

このようなカウントなので、1級建設業経理士が2人いる建設会社(2人×1.0=2)と、2級建設業経理士が5人いる建設会社(5人×0.4=2)では、同じ数値となります。
2級建設業経理士の合格者を多数在籍させることでもこの数値は高くなりますが、その分だけ人件費も高くなってしまいます。

評点テーブルとの照合

公認会計士等数値を計算したら、年間平均完成工事高と照らし合わせて評点を0点から10点までの2点刻みで算出します。

分かりにくいかもしれないので、具体的な例で考えてみましょう。
A社とB社、どちらも1級建設業経理士が1人、2級建設業経理士が3人在籍しているとします。
公認会計士等数値は以下のように計算できます。
  1人×1.0+3人×0.4=2.2

ですが、年間平均完成工事高が次のようにかなり開きがある場合を想定してみましょう。
【A社】
 年間平均完成工事高:30億円
【B社】
 年間平均完成工事高:500億円

A社の年間平均完成工事高は30億円なので、「40億円未満」(画像のサイズの制約で「10億円以上」という表記は省略しています)の評点テーブルを用います。
すると、A社の公認会計士等数値2.2は、評点が8点のところの「1.6以上2.4未満」の部分に該当しますので、A社の公認会計士等の数による評点は8点となります。

一方、B社の年間平均完成工事高は500億円なので、「600億円未満」(画像のサイズの制約で「150億円以上」という表記は省略しています)の評点テーブルを用います。
すると、A社の公認会計士等数値2.2は、評点が2点のところの「1.6以上2.8未満」の部分に該当しますので、B社の公認会計士等の数による評点は2点となります。

年間平均完成工事高は建設業者の規模を端的に表すものですから、規模の大きな建設業者ほどその規模に見合うように、多くの、そしてより高い級の建設業経理士合格者を抱えておかなければ、この項目の評点は上がりにくい構造となっています。

なお、評価テーブルを見てお分かりのように、建設業経理士の数がどれだけ多くなっても、評点は最大で10点までしか獲得できないため、どこかの段階で頭打ちしてしまいます。
そのため、「もう君は無理に建設業経理士を目指さなくてもいいよ」という建設会社もあるでしょう。
ただ、経営事項審査の有効期限は1年7か月しかありません。新たに経営事項審査を受審し直す段階で、現在在籍している建設業経理士の合格者や公認会計士等がまだ在籍している保証はどこにもありません。
いざ受審し直すときに「このままだと10点から8点に落ちてしまう!」と焦るような状況になるくらいであれば、頭打ちしていることを承知でも、社内の建設業経理士合格者は増やした方が良いということになるでしょう。
(もちろん、勉強した知識も決して無駄にはならないと思いますので…。)

まとめ

以上の2項目をまとめると、建設業者に建設業経理士の合格者が在籍することで、「監査の受審状況」は最大で2点、「公認会計士等の数」については最大で10点、合計12点まで獲得することが可能になっています。

経審のW評点は、全ての項目の点数を合計したものを「×10×190÷200」することで求められ、最大で1,919点(平成27年4月1日より)となっています。
もし、最大で12点を「W5:建設業の経理の状況」の2項目で獲得できると、1,919点中114点分の底上げ要因となります。

なお、これはあくまでも建設業経理士に合格することで直接経審に影響を与えられる点数のみを取り上げています。
建設業者の社内に建設業経理士試験に合格した経理に明るい人材が多数在籍していると、社内のコスト管理や業績改善も行いやすくなるため、間接的には財務状態改善などによってX評点やY評点の向上も期待できるはずです。

このように、直接的に会社のメリットが分かりやすいのが建設業経理士という資格の大きな特長です。
建設会社にお勤めの方はもちろんですが、建設会社へ就職を希望されている(特に文系の)学生の方も、建設業界の勉強の一環として学習してみてはいかがでしょうか?

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