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今こそ読み直そう!第144回日商簿記1級の「講評」



第145回日商簿記検定直前の「講評」の見直し記事を多くの方にご覧頂いたようでしたので、今回の第146回日商簿記検定向けにも同様に振り返ることにしてみましょう。

日商簿記検定の「講評」は確認しましたか?

日商簿記検定では、試験が終わるたびに、それぞれの回がどういった趣旨で出題されたのかという「出題の意図」と、採点終了後の結果を踏まえた「講評」が日商簿記検定の公式サイトにて公開されています。

どちらも試験の主催者から発信される試験問題に対する公式コメントなので、受験される級の過去の「出題の意図」や「講評」はぜひチェックして頂きたいのですが、第146回日商簿記検定が間近に迫ったこのタイミングでは、とりわけ「講評」について注目しておきたいと思います。

「講評」では、その回の受験生の理解や対策が不十分だと思われるポイントがたびたび指摘されています
裏を返せば、そうやって指摘されているポイントの理解や対策が十分でない限り合格は難しいかもしれませんし、そこを乗り越えれば、出題者が考える「合格させたい受験生」のイメージに、最終的には合格に近づくかもしれません。

来月の日商簿記検定に備え、今回は第144回日商簿記検定1級の出題の意図の中から、「GAINS!」編集担当者が気になるポイントをピックアップしていきたいと思います。

なお、出題の意図・講評の全文は以下のページにて閲覧できますので、気になる方はチェックしてみて下さい。 ※以下の引用文は、特に断りがない限り、第144回日商簿記検定1級「出題の意図・講評」の講評部分から引用したものとなります。

第144回日商簿記検定1級の「講評」で気になるポイント

商業簿記について

第144回日商簿記検定1級の商業簿記の講評の中で、まず気になったコメントとして、以下のような指摘がなされています。
為替予約、減価償却や有価証券の評価などは、どのような角度から問われてもしっかりと正解できるよう理解を深めておく必要があります。
過去問題を解いていくと、どうしても「過去問題で問われた内容」や「過去問題で問われた出題形式」に意識が集中してしまう可能性がありますが、必ずしもまったく同じものが出題されるとは限りません。

この講評を読むと、異なるタイミングや異なる処理方法、取引の相手方など、同じ論点でも出題される内容が様々考えられるものについては、関連する内容もきちんと理解しておく必要があるように読み取ることができます。

また、次のようなコメントも掲載されています。
簿記では仕訳はもちろん重要ですが、その仕訳がその後どの勘定にどのように転記されて、最終的に財務諸表に集約されていくかも重要なプロセスです。普段からそうした一連の流れをしっかりと意識しながら学習に取り組んでいなければ、なかなか本番の試験で解くのは難しいかもしれません。
日商簿記1級の商業簿記では、決算整理前残高試算表に記載された勘定残高と決算整理事項に基づいて、財務諸表を作成する形式がほとんどです。
それに一部項目の推定などを受験生に課す問題もありますが、これらを正確に解くためには、過去(期中)に行われた取引の仕訳や記帳状況を想像する力が必要となります。

日商簿記1級の仕訳や計算は1つひとつが複雑でボリュームもあるので、どうしても仕訳単体や計算そのもので精一杯になるかもしれませんが、試験で点数に繋がるように、その前後関係や記帳の状況、勘定の残高がどのように推移するのかも、できる限り押さえておくようにしましょう。

会計学について

第144回日商簿記検定1級の会計学は2問構成となっていました。

第1問について

第1問では、退職給付(連単分離の処理)、圧縮記帳の税効果、会計上の変更がテーマとなっていましたが、講評で受験生の解答状況を次のようにコメントしています。
とくに、過去勤務費用が給付水準を引き下げること(しばしば行われる実務です)によって生じた場合、その後の損益計算に利益として戻し入れられる点について理解が不足している答案が目立ちました。圧縮記帳に関する税効果の処理は、将来加算一時差異が生じる典型的なケースですが、積立金方式を含めて正確に理解していると思われる答案は少なかったです。
退職給付の処理と圧縮記帳の税効果について、受験生の正答状況が良くなかったことがうかがえます。

第2問について

一方、第2問では基本的な連結財務諸表作成に関する知識を問う計算問題でしたが、こちらについての講評は次のようになってします。
全体的に解答しやすい問題としたので、それぞれの論点について正確に理解している受験者は満点を取っており、その数が例年に比べて比較的多かったことは特筆できます。

まとめると…

これら会計学の講評を総合すると、連結財務諸表の理解については受験生の平均的なレベルが上がっているものの、個別論点については少し応用的な内容になるだけで正答率が下がってしまうという状況だと推測することができます。

連結財務諸表が出題されると、他の受験生の正答率も高くなる可能性も否定できないため、特に苦手にしている方は、できる限り失点を少なくするような対策が必要かもしれません。 他方で、個別論点の応用的な内容については、解答できると他の受験生に対してリードできるかもしれませんので、得意な応用論点を持っておくことを強みにする戦略も考えられるのではないでしょうか。

工業簿記について

第144回日商簿記1級の工業簿記では、標準原価計算に関する問題が出題されました。

講評を読む限り、出題者の想定と受験生の解答状況が大きく乖離していたと思われるのは、第2問の問1で出題されたシングル・プランによる仕掛品勘定の完成問題ではないでしょうか。

講評では次のように述べられています。
標準原価計算におけるシングル・プラン、修正パーシャル・プランおよびパーシャル・プランによる仕掛品勘定の記入は基本的な論点です。しっかり学習してください。
商業簿記の講評でも勘定への転記について触れられていることを鑑みると、1級受験生が勘定記入に対する意識が薄れていることへの警鐘なのかもしれません。

工業簿記という以上、計算した結果を帳簿(勘定)に記入するところまで問われてもおかしくない訳ですし、そこを乗り越えないと点数にならない可能性もある訳ですから、不安な方は軽く確認しておくのがよいでしょう。

原価計算について

最後に原価計算です。

第144回日商簿記1級の原価計算では、第1問で設備投資の意思決定、第2問で業務的意思決定が出題されました。

第2問は比較的できていたようですが、第1問の方は期待していたほど正答は多くなかったようです。
まず、第1問があまりできていません。計算量はやや多めでしたが、設備投資計算の基本問題ですので、できなかった受験者はぜひ復習しておきましょう。
とあるとおり、基本的だと思われる問題の正答率が良くなかったことが指摘されています。

加えて、問6の講評として次のような記述もあります。
問6では必ずしもすべて計算する必要がなかったのですが、正味現在価値法と内部利益率法の原理そのものが理解できていないのではないかと思われる答案が目立ちました。
「原理そのものが理解できていないのではないか」という指摘は、「原理そのものも理解してほしい」という出題者の要望のようにも思えてくるのではないでしょうか。

すべての出題者がそのように思っている保証はないのですが、最近では工業簿記・原価計算でも理論と計算を融合した問題が出題されていることを考えれば、このように思っている出題者が多くても不思議ではありません。

「単に計算だけできればいいや」と思わずに、できる限り理論的な部分にも意識を払っておくのがよいのではないでしょうか。

最後に

日商簿記1級は、2・3級と比べて合格率の変動が比較的少ないことから、受験生の正答状況に合わせて得点を調整していると言われています。
そうであるならば、他の受験生の出来具合を知ることの重要性は日商簿記2・3級のときよりも高いはずです。

孫氏の言葉に「彼を知り、己を知れば、百戦して危うからず」という名言があります。
敵と味方の実情をきちんと把握しておけば、戦いに負けることはないだろうという意味の名言です。

自分の出来具合は日々の勉強や模試などで把握されているかと思いますが、他の受験生や出題者の状況は、こういった「講評」で確認するしかありません。
学習の合間にでも、全文を一度読んでみてはいかがでしょうか。

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詳細は、ネットスクールホームページへ。

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