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せっかくなので知っておこう!「8掛け」の意味



学生の方を中心に戸惑ってしまった、簿記検定のとある表現

就職での選考はもちろん、就職後のお仕事でも役に立つことを期待して、日商簿記検定を受験される学生の方も多いのではないでしょうか。

(日商簿記に限りませんが)簿記を学ぶことによって、財務諸表の構成はもちろん、コストに関する考え方、複式簿記特有の「物事を2つの側面で考える」という思考のほか、直接的には簿記の知識ではありませんが、小切手や手形、株式会社の仕組みといった知識も身に付くため、非常に有用であることには変わりありません。

また、「数字に強い」ということを証明できるのも、非常に強い武器になるはずです。

…ですが、過去の日商簿記検定の中で、ビジネスの世界では一般的な言い回しであるものの学生の方は馴染みがないために、多くの方が誤解をしてしまったと思われる数字の表現が出題されたことがあります。

それは、第133回日商簿記検定2級の第1問、仕訳問題の取引を表した文章中に登場しました。

該当する問題は、平成28年度の出題区分改定にあたって2級の内容から削除され、今後の2級試験で同様の問題が出ることはないため、詳細には触れませんが、次のようなフレーズが登場しました。
8掛け
実際にお仕事をされている方を中心に、分かる方には聞き慣れた表現で迷う要素はないように感じられるかもしれませんが、学生の方を中心に、この「8掛け」の意味するところが分からなかったようです。

現在も試験当日の夜に行っているネットスクールの解答速報会では、チャットに
  • 8を掛けてしまった
  • 8倍してしまった
というコメントが多数寄せられる事態となりました。

こういった書き方をしているため、既にお気づきだと思いますが、もちろん「×8」をして8倍するのが「8掛け」ではありません。


「8掛け」の意味とは…

この「8掛け」という言葉の意味ですが、正しくは「×0.8」をしてある数(金額)の8割(80%)を求めることを意味します。
馴染みのない方にはとっては、不思議に思うかもしれません。

では、辞書でも本当にそのような説明をされているのか、確認してみましょう。

小学館の『精選版 日本国語大辞典』では、『がけ(掛・懸)』という項目の中に、以下のような記述で説明されています。
⑦漢語の数詞に付いて、その数の割であることを示す。「八がけ」は8割の意味。

―小学館 『精選版 日本国語大辞典』より

「漢語の数詞」とは、「ひ・ふ・み・よ…」で数える「和語の数詞」に対して、「いち・に・さん・し…」と数えるもの、音読みで読む数字を指すと考えて下さい。
その「漢語の数詞」に「掛け」を付けて「〇掛け」というと、単なる倍数ではなく「〇割」という割合を示すという説明になっています。

このように、「8掛け」のような表現は辞書にもきちんと載っている表現なのです。

どういう場面で使われるの?

この「〇掛け」という表現ですが、ビジネスの世界では比較的メジャーなフレーズで、見積もりや交渉の場面だったり、ライバル企業の原価の状況を推測したりといったケースで使われることが一般的です。

例えば、初めて取引をする相手先企業の営業担当者から、
「正規の値段は100万円ですが、初回の方には8掛けでご提供させて頂きます。」
と言われるようなケースがあります。

この場合、100万円の8割(80%)ですから、100万円×0.8=80万円で提供してもらえるということになります。
今後も自分の会社の商品を買ってもらうために、最初に買ってもらうタイミングで値下げを提示するといったケースで、このような表現が使われる可能性があります。

また反対に、相手に値下げを持ちかけるときに、「なんとか8掛けくらいの金額にまで安くできない?」のようにお願いをすることもあるかもしれません。

この他に、ライバルとなる企業を指して、
「あそこの企業は、卸から7掛けで仕入れているらしい…」
という会話を社内で耳にするかもしれません。

この場合、話題になっている企業が卸売業者(問屋)から商品を仕入れる価格が販売価格の7割(70%)であること、言い換えれば販売価格の3割(30%)が粗利益であることを話していることになります。
そういったことをヒントに、同業他社の経営状況を販促に掛けられるコストを推測したり、同じくらいの水準の仕入先を探したりといったことも、実際のビジネスの場面で行われることがあります。

また、中にはこんな言葉もあります。
「半値八掛け二割引」
100円のものの半値は50円。それを8掛けすると、50×0.8=40円。さらに2割引きすると、40円×(1-0.2)=32円となります。
元値の100円に対しては32円ですから、元値の32%、すなわち68%引きということになります。

元は江戸時代に大阪の薬問屋が買い叩く際に「これくらい負けてや!」という目安として使われたらしく(なぜこの数字なのか、由来も含めて諸説あるらしく、流通業者のマージンに由来する説や、単に語呂が良いという説もあるようです)、昔から一般的な表現だったことがうかがえます。

また現代では、この言葉は高値を付けた後に値下がりする株式が、およそ「半値八掛け二割引」のあたりまで下がるのではないかという底値の目安として使われるようにもなっているようです。
※ただし、これはあくまでも経験則などに基づくものらしく、必ずしもそうなる訳ではないので、どこまで参考にするかは皆さんの自己責任で判断してください。

試験には出ない可能性が高いけど知っておこう!

ちなみに、筆者は商業高校出身だったからか、高校時代にとある先生が、
「授業態度が悪い奴は、期末考査の点数を6掛けで評価するぞ!」
と言った内容を冗談半分で話していたときに初めて知ったのですが、なかなか学生時代に耳にすることのない表現であることには変わりないかと思います。

また、日商簿記でも冒頭で触れた第133回試験より後で「〇掛け」の表現が登場したことはなく、今後も登場しない可能性は高いと思われます。

ですが、せっかく簿記を勉強されるのであれば、社会に出たときに「数字に強い」という期待に応えるためにも、試験には関係なくても『8掛け』といった表現を頭に入れておいてはいかがでしょうか。

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