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「以上」や「以下」、「未満」などの使い分け

避けて通れない「以下」や「未満」などの表現

簿記の学習が数字を扱うものだということは、誰しもピンとくるものだと思います。
これは、実際のビジネスシーンで使われる場面では、好き勝手の処理が行われる訳ではなく、一定のルール(法律や会計基準、社内の経理規定など)に基づいて行われます。
そのため、簿記の学習は数字の取扱いとともにルールについても学ぶものだといえます。

このように、数字とルールが結びつくとき、何かしらの判断基準として、数字と一緒に以下のような表現を用いるケースが多々あります。
  • 100万円以上
  • 100万円
  • 100万円以下
  • 100万円未満
似たような表現ですが、それぞれ全く別の意味となり、意味を取り違えてしまうと、試験でも実務でも大きなミスの要因となってしまう恐れがあります。

また、日商簿記1級や全経簿記上級で必要となる連立不等式を解くためにも、これらの内容の理解は必須といえますので、連立不等式の解き方に入る前に、今回はこれらの表現の違いを整理していきましょう。

「以上」と「より大きい(超)」の違い

例えば、「100以上」と「100より大きい(または100)」では、何が違うのでしょうか。
答えは、「100を含むか否か」という点です。

「100以上」という表現は100も含みますが、「100より大きい(または100)」という表現には100は含みません

この違いを簿記検定の合格基準(合格ライン)という身近な例で考えてみましょう。

例えば日商簿記検定の公式ホームページでは、2級と3級の合格基準は「70%以上」、1級の合格基準は「70%以上 ただし、1科目ごとの得点は40%以上」となっています。

「70%以上」とあれば70%も含みますので、100点満点のテストで70%の得点、すなわち70点を獲得できれば合格となります。

もし、この合格基準が「70%」となっていたらどうでしょうか。

「70%超」を合格基準とする試験の場合、70%よりも大きな点数を取らなければならないため、100点満点のテストで70%にあたる70点ピッタリを取っていても“70%と同じ”に過ぎず、“70%”を超えていないため不合格ということになります。

微妙な違いとはいえ、試験の合格ラインという身近な例に置き換えれば、その違いが大きな結果の違いになるケースもあることがお分かりいただけたでしょうか。

「以下」と「未満」の違い

先ほどは数字が大きくなる方向を見ましたが、今度は数字が小さくなる方向の表現です。

「100以下」と「100未満」も似たような表現ですが、こちらも「100を含むか否か」という点が異なります。
「100以下」という表現であれば100も含まれるのに対し、「100未満」という表現では100は含まれません

「友達以上恋人未満」という表現を耳にしたことはあるでしょうか。
こういった関係の男女が登場するマンガやドラマがお好きな方もいらっしゃるかと思いますが、この関係は恋人同士とまでは言えない親密さを表したものですから、「恋人未満」で正しい訳です。 もしも、「恋人以下」にしてしまうと、恋人と呼べる関係も含む訳ですから、意味は全く変わってきます。

もう1つ別の「未満」を用いた例もご紹介しましょう。
スーパーマーケットやコンビニエンスストアで見かける食品に「ノンカロリー」や「カロリーゼロ」という特徴を謳ったものを見かけたことがあるかと思いますが、このような表現を謳えるのは、100gあたり(飲料の場合は100mlあたり)のカロリーが5キロカロリー未満でなければならないと、日本の食品表示基準などで定められています。

5キロカロリー以下ではないため、100g(または100ml)あたり5キロカロリーぴったりの食品は残念ながら「ノンカロリー」や「カロリーゼロ」と表示できないことになっています。
一方、100g(または100ml)あたり4.5キロカロリーや3キロカロリーなど、5キロカロリーよりも少なければ、「ノンカロリー」や「カロリーゼロ」というように、カロリーを含まない表記をしても良い訳ですから、まったくのゼロという訳ではないことは知っておいてもよいかもしれません。
なお、法律などでは「未満」の代わりに「満たない」という表現を使うこともあります。
この場合は「未満」と置き換えて考えれば分かりやすいでしょう。

数学の記号(不等号)で書くと…

簿記のテキストの要点などでは、日本語の文字ではなく数学の記号、すなわち不等号で表記されるケースがあります。


このとき、注意しなければならないのは不等号の中に「=」が入っているものか否かという点です。

これまで見た4つの言葉と対応させると

  • 「=」が入らないもの
    • xx100 … 100未満
    • xx100 … 100より大きい(超)
  • 「=」が入るもの
    • xx100 … 100以下
    • xx100 … 100以上

となり、「=」が入るとその数字を含む「以下」や「以上」、「=」が入らないとその数字は含まない「未満」や「より大きい」というものになります。

そのものを含むか否か、等しいことを意味する「=」の有無で見分けられることを考えれば、こちらの方が分かりやすいのかもしれません。
ですが、パッと見で見間違える可能性も否定できないため、慎重に読むようにしましょう。

そうめんと冷や麦に見る使用例

小麦粉で作られた麺のうち、よく似たものに「そうめん(素麺)」と「冷や麦」、「うどん」があります。
これらの区別をとおして、もう少し表現に慣れてみましょう。

これらのうち、機械で製麺した乾麺については、日本農林規格(JAS規格)の『乾めん類品質表示基準』において、麺の直径の太さで区別することになっています。

最も細い1.3mm未満のものは『そうめん』、1.7mm以上のものは『うどん』と定義されており、その間の太さのものが『冷や麦とされています。

では、『冷や麦』の麺の太さはどのように表せるでしょうか。
「1.3mm(以上or超)1.7mm(以下or未満)」のものと表せるはずですから、(  )内の語句のどちらを選べば良いのかを考える必要があります。

まず、細い方からです。
太さが1.3mmのものは『そうめん』ではなく『冷や麦』となりますので、1.3mm(以上or超)の部分は、1.3mmを含む“以上とするのが適切です。

一方の太い方は、直径が1.7mmだと『うどん』になってしまうので、1.7mmを含んではいけません。従って、1.7mm(以下or未満)の部分は、1.7mmを含まない“未満とするのが適切です。

従って、冷や麦の麺の直径は「1.3mm以上1.7mm未満」となります。

再確認と練習問題

ここまで見てきた内容について、「常識だよ」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、繰り返し述べるとおり、資格試験では非常に重要な知識で疎かにすることはできません。

特に、判定(判断)をする場面や、論述をする場面では、“以下”と“未満”などを取り違えると、大きな失点につながる恐れもあるため、注意が必要です

このような点を正確に覚えるためには、定義などを言い換えて、当てはまらないケースも一緒に確認すると良いでしょう。

例えば、子会社の判定などの説明文で登場する『過半数』という言葉。 これは、50%“”であることを意味し、50%は含みません

具体的にある会社の議決権を50%ちょうど持っているとしましょう。
この場合、もう1人の株主も50%ちょうどの議決権を持っていて50:50の状態だと、自分が賛成しても相手が反対すれば、賛否は五分五分となってしまいます。
自分の意見を押し通すためには、50%よりも少しでも多く(50.1%とか50.00001%とか)の議決権を持っておかなければならないため、50%“以上”としてはいけないことが理屈で導き出すことができます

また、「以上」や「未満」といった言葉を使って何かを分けるケース、例えば合格と不合格を分けるような場合、両方に該当するようなケースが無いような表現となります。
前述の簿記検定の合格ラインの場合、「70点以上で合格」を言い換えると「69点以下で不合格」となりますが、間違って「70点以下で不合格」と表現するとどうなるでしょうか?

70点をとった受験生が合格にも不合格にもなってしまいます。
合格にも不合格にも該当するということは考えられない訳ですから、「70点以上で合格」ということが正しいと分かっていれば、「70点以下で不合格」という文章が誤りだということが分かります。


試験で迷わないようにするためにも、あと、できれば日常生活やビジネスシーンでも取り違えないよう、この辺の思考を鍛える練習問題を数題用意しましたので、(  )の中に「以上」・「以下」・「未満」・「」のどれが入るか考えてみて下さい。
言い換えて該当しない場合の表現も一緒に考えると、より鍛えられるはずです。

練習問題

1.日本では、18歳(  )の国民に選挙権が与えられる。
  言い換えると、17歳(  )の国民には選挙権は与えられない。


2.日本では、20歳(  )の者の飲酒は禁止されている。
  言い換えると、20歳(  )であれば飲酒しても良い。

答えは下にスクロールして確認してください。











練習問題の解答

1.日本では、18歳(以上)の国民に選挙権が与えられる。
  言い換えると、17歳(以下)の国民には選挙権は与えられない。


2.日本では、20歳(未満)の者の飲酒は禁止されている。
  言い換えると、20歳(以上)であれば飲酒しても良い。

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