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日銀の財務諸表…?



日本銀行の財務諸表を見てみよう

「銀行の銀行」と言われ、我が国の経済や金融の状況を大きく左右する日本銀行(以下、「日銀」)の財務諸表が、日銀のホームページで閲覧できることはご存知でしたか?

最新の平成28年4月1日から平成29年3月31日までの事業年度に係る財務諸表(PDF)は、平成29年5月29日に公表されており、日銀の利益などは経済ニュースなどでも取り上げられています。

唯一無二で特殊な日銀の財務諸表ですから、当然ながら、簿記の学習などでは見かけることの無い項目がたくさん並んでいますが、貸借対照表や損益計算書の構造自体は簿記検定などで学んだ内容を思い出せばある程度理解できるものになっています。

せっかくなので、ちょっと気になる点をちょこっと覗いてみましょう。

日銀の財務諸表アレコレ

1円単位で数字がびっしり並んだ財務諸表

上場企業が作成する有価証券報告書や決算短信の財務諸表では、読みやすさの観点から千円または百万円単位で表示されています。

それに対し、日銀のホームページに記載されている財務諸表では、数兆円単位の項目があるにもかかわらず、基本的にすべて1円単位で表示されています。

例えば、最新の第132回事業年度末の貸借対照表で資産として計上されている国債(日銀が保有している国債)の額は417,711,474,033,271円(417兆7,114億7,403万3,271円)となっています。 省略しないが故にここまで数字がみっしりと書き並べられているものを見るのも、なかなか壮観かもしれません(?)

金庫に眠る金塊?「金地金」

日銀の貸借対照表の資産の部を見ると、現金ではなく「金地金」という見慣れない科目が表示されています。その額、およそ4,412億円あまり

普通の生活で「金地金」に触れることがある人は少ないと思いますが、「金の延べ棒」や「金塊」というとイメージしやすいかもしれません。

この「金地金」ですが、不思議なことに貸借対照表に計上されている金額はここ数年で1円たりとも変動していません。

皆さんもご存じのとおり、金の相場は日々変動しているため、もしその時価変動に応じて貸借対照表に計上している金額を変えている(時価評価している)とすれば、多少なりとも金額が変わるはずです。

毎年同額になるように買ったり売ったりして保有量を調整しているとも考えにくいとすれば、購入した金額のまま(取得原価で)評価していると推測できるでしょう。

ただ、仮にこの記事を書いている8月10日ごろの金の相場(1gあたり、約4,900円)だと仮定しても90トン以上となり、とてつもない量の金であることには変わりありません。

そんな金が日銀のどこかに眠っているのでしょうが、どこに眠っているのかは謎に包まれたままのようです…。

お札を作るのに必要なコストはいくら?

日銀の損益計算書の中に記載されている経費の中には、減価償却費や給与等といった普通の会社と同じような項目がありますが、絶対に日銀しか計上しないものに「銀行券製造費」があります。
銀行券(日本銀行券)といえば、普段目にする一万円札などのお札のことです。
その製造費ですから、素直に解釈すれば「お札を作るためのコスト」と言えるでしょう。

平成28年度の損益計算書を見ると、そのコストは約518億円となっています。

この金額が安いのか高いのか分からないため、もう1つ別の資料をのぞいてみましょう。

日銀は日本で唯一、銀行券(お札)を発見できる発券銀行ですが、実際に日銀が印刷している訳ではなく、独立行政法人国立印刷局に製造を発注しています。

日本銀行のホームページには、年度ごとの銀行券の発注量も公表されています。

この資料によると、平成28年度において日銀が国立印刷局に発注した銀行券(お札)の量は合計30億枚となっています。 30億枚のお札を作って518億円ですから、ざっと計算すると1枚当たり17.3円のコストとなります。

では、実際に作ったお札の額面で考えると、どうなるでしょうか?
平成28年度に発注された銀行券の内訳は、以下のとおりのようです。
  • 1万円札:12.3億枚
  • 5千円札:2.0億枚
  • 2千円札:0.0億枚
  • 千円札:15.7億枚

単純計算すると、合計で14兆8,700億円分となります。 これだけの額面のお札を作るのに必要なコストは518億円ですから、お札の額面に対するコストの割合は約0.35%という計算になります。

だからといって、どのように反応すれば良いのか困りますよね…。

とにかく巨大な数字が並ぶ財務諸表は一見の価値あり?

他にもいろいろな項目がありますが、当然ながら普通の商品売買業や製造業はもちろんのこと、一般の銀行とも異なることの多い、唯一無二の存在である日本銀行の財務諸表ですから、細かいことはなかなか普通では分からないという所も多々あります。

ですが、まずは誰もが知っていて、身近なお札(紙幣)に関する日本銀行の財務諸表です。
また、それを除いても、とにかく巨大な金額が並んでいる財務諸表を眺めてみるだけでも面白いのではないでしょうか。

ちなみに、日本企業で時価総額が最も大きい(2017年8月現在)トヨタ自動車株式会社の連結貸借対照表の資産総額(平成29年3月末現在)は約49兆円、傘下にゆうちょ銀行を携える日本郵政株式会社の連結貸借対照表の資産総額(平成29年3月末現在)は約293兆円であるのに対し、日本銀行の貸借対照表の資産総額は約490兆円ですから、どれだけ規模の大きな財務諸表であるかがうかがい知れることかと思います。

簿記で財務諸表の仕組みや作り方を学習されたのであれば、せっかくですからこのような財務諸表も見てみると、何かしら新たな発見に巡り合えるかもしれません。

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