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甲子園球場の帳簿価額はいくら?



熱い戦いを繰り広げる甲子園球場

日本の夏の風物詩ともいえる「全国高等学校野球選手権大会」。
来年で記念すべき100回を迎える伝統ある大会で、大会期間中になると、テレビや新聞などのメディアも、この大会の話題で持ちきりになります。

さて、この大会がどこで開催されているのか、皆さんはご存知でしょうか?

聞くまでもなく、多くの方がご存知だと思いますが、兵庫県西宮市にある阪神甲子園球場で行われています。
阪神タイガースの本拠地でもおなじみですが、単に「甲子園」といえば、春と夏に開催される高校野球の全国大会のことを指すほど、知名度の高い球場でもあります。

甲子園球場は誰のもの?

さて、この阪神甲子園球場ですが、実はとある株式会社の所有物だということもご存知でしたでしょうか?

名称の最初に「阪神」と付いていること、そして、先ほど「阪神タイガースの本拠地」と書いたところから推測できるとおり、プロ野球の阪神タイガースを運営する阪神電気鉄道株式会社が所有している一施設です。

阪神電気鉄道株式会社は2006年に、同じく関西地方の大手私鉄である阪急グループと経営統合し、現在では、東証一部に上場する阪神阪急ホールディングス株式会社(以下、「阪急阪神HD」)の傘下に入っています。
上場企業の傘下に入っている企業が所有する施設ですから、当然ながら、有価証券報告書(有報)を見れば、阪神甲子園球場のこともきっと書かれているはずです。

という訳で、今回の記事では、阪急阪神HDの有報を見ながら、阪神甲子園球場の記載を見ていきましょう。

甲子園球場の帳簿価額

有報の「第3 設備の状況」のうち、「2 主要な設備の状況」という部分には、各社ともにグループ全体で保有している建物や土地、機械などの有形固定資産の状況が掲載されています。

阪急阪神HDのメインとなる事業は鉄道事業ですから、最初の方には鉄道事業の細かい情報、各線の距離や駅数はもちろんのこと、変電所の数など鉄道ファンが喜びそうなマニアックな情報も載っていますが、ここでは一旦スルーしておきましょう。

ページをもう少し後にすると、「(4)エンタテインメント・コミュニケーション事業」の中の「①スポーツ事業」という部分に、阪神甲子園球場の情報が書かれています。

最新の第179期(平成28年4月1日~平成29年3月31日)の有報に載っている金額は、期末の平成29年3月31日時点の情報となります。
有報によると、建物及び構築物の帳簿価額は124億5,300万円土地(100,000㎡)の帳簿価額は386億3,800万円と書かれています。 合計すると500億円を超える金額で、帳簿上は記載されていることが分かります。
ここで、簿記を学習されている方であればピンと来ていると思いますが、土地を除く建物や構築物は減価償却という会計上の手続きで、帳簿価額は毎年規則的に減らされていきます

したがって、有報に載っている帳簿価額124億5,300万円というのは、「124億5,300万円で作られた」という訳でなく、「経過に伴って減価償却で価値がいくらか減った後の金額が124億5,300万円」ということになるので、有報を読み解く際には注意が必要です。

リニューアル工事で増える帳簿価額

ただ、阪神甲子園球場自体は大正13年(1924年)に開設されていますので、簿記や会計を学んだ方は、このような疑問が生じるのではないでしょうか?
「90年以上前に作られたのだから、とっくの昔に耐用年数を迎えて、帳簿価額はもっとゼロに近いはずじゃないの?」
一般的な建物の耐用年数はとうに超えていますが、ご存じのとおり、いまだ現役で多くの試合の舞台となっている訳ですから、そのためには様々なリニューアル工事が行われているはずです。

そして、その度にリニューアル工事に要した費用が阪神甲子園球場の帳簿価額に加算されているのです。

日商簿記2級程度以上の簿記の学習をされた方は習ったことがあるかと思いますが、これを『資本的支出』といいます。

簿記・会計の世界では、発生した期の費用に計上してしまう日常的なメンテナンスや現状維持のための修繕に要した収益的支出とは異なり、耐用年数を延長したり、これまで備えられていなかった機能や設備を追加したりするような大規模なリニューアルに要した資本的支出は、固定資産の帳簿価額に加算されるルールとなっているのです。

過去の阪急阪神HDの有報を遡ってみると、第171期(平成20年4月1日~平成21年3月31日)の有報の中に、阪神甲子園球場のリニューアルについての記載が残っています。
それによれば、平成18年5月から平成22年3月にかけて、200億円をかけたリニューアルが実施されたことがうかがいしれます。

このようなリニューアルに投じられた金額が、リニューアル実施後の阪神甲子園球場の帳簿価額が加算されることになるため、開設から90年経った今でも100億円を超える帳簿価額が計上されているのです。


阪神甲子園球場で熱いゲームを繰り広げる選手と、それを応援する野球ファンのために、きっと今後も定期的にリニューアル工事が行われることでしょう。
有報は年に1回しか作成されないため、かなりのタイムラグが生じるかもしれませんが、もしも簿記を学んでいらっしゃるのであれば、そういったニュースに合わせて、有報をチェックしてみるのも面白いのかもしれません。

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