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簿記論・財務諸表論の同時学習とは?(前編)



避けては通れない税理士試験の入り口「簿記論・財務諸表論」

税理士試験に合格するためには、(科目免除を想定しなければ)必ず簿記論財務諸表論という2つの科目に合格しなければなりません。

また、日商簿記検定などの簿記検定の学習を経て、税理士試験合格に向けた学習を始める方が多いため、まずは馴染みのある簿記・会計分野であるこの2科目を入口とすることも一般的となっています。

どちらも「会計科目」として分類されるこの2科目ですが、平成29年度(第67回)試験の受験案内に記載されているそれぞれの科目の出題範囲と出題形式は、下記のとおり、若干異なっています。

簿記論

  • 出題範囲
    • 複式簿記の原理、その記帳・計算及び帳簿組織、商業簿記のほか工業簿記を含む。ただし、原価計算を除く。
  • 出題形式
    • 第一問:計算問題(25点)
    • 第二問:計算問題(25点)
    • 第三問:計算問題(50点)

財務諸表論

  • 出題範囲
    • 会計原理、企業会計原則、企業会計の諸基準、会社法中計算等に関する規定、会社計算規則(ただし、特定の事業を行う会社についての特例を除く。)、財務諸表等の用語・様式及び作成方法に関する規則、連結財務諸表の用語・様式及び作成方法に関する規則
  • 出題形式
    • 第一問:理論問題(25点)
    • 第二問:理論問題(25点)
    • 第三問:計算問題(50点)


ご覧のとおり、もともと別々の科目として設定されている関係で、簿記論の出題範囲と財務諸表論の出題範囲の説明は、大きく異なっているように思えるかもしれません。

また、簿記論が基本的にすべて計算問題であるのに対し、財務諸表論は100点満点中50点分の理論問題が出題されることから、例年の出題形式から見ても、この2科目は大きく違うもののように思えることでしょう。

では、実際にこれから税理士試験の学習を始められる方が、それぞれの科目の特性に応じて「簿記論と財務諸表論を別々に学習する」というのは、得策と言えるのでしょうか。

答えはNOです。

これから税理士試験の学習を始められるのであれば、ネットスクールでは簿記論と財務諸表論の2科目を同時に学習することをお勧めしています。

一見すると無謀な学習法のように思えるかもしれませんが、なぜそのようなことが言えるのか、今回と次回の記事で、その理由を探っていきましょう。

実際の問題を見ながら確認してみよう

税理士試験の簿記論と財務諸表論では、よく似た内容が同じ年にどちらの科目にも出題されるということがしばしば見受けられます。

「例えば…」ということで、平成27年(第65回)に出題された問題の一部を実際に見てみましょう。

まずは、簿記論の第三問で出題された問題文(決算整理事項)の一部です。
9 賞与引当金

 甲社は賞与を6月と12月の年2回支給している。支給対象期間は、6月賞与が前年の11月から当年の4月、12月賞与が当年の5月から10月である。翌期の賞与支給見込額は、平成27年6月賞与が12,600,000円、平成27年12月賞与が12,900,000円である。このうち当期負担額を賞与引当金に計上する。(以下、略)

―第65回税理士試験 簿記論 第三問より
一方、同じ年の財務諸表論で出題された問題文(決算整理事項)の一部も見てみましょう。
10 従業員賞与に関する事項

 従業員賞与については、平成27年6月の夏季賞与(支給対象期間は平成26年12月から平成27年5月)の支給額が36,450千円と見込まれており、当期に負担すべき金額を賞与引当金に計上する。(以下、略)

―第65回税理士試験 財務諸表論 第三問より
まだ学習前なので解けないという方も多いと思いますが、問題文を読む限り、どちらも「当期に負担する金額を賞与引当金として計上する」ことが要求されていることはお分かりいただけるのではないでしょうか。

では、この内容に関連する教科書の内容も一部ですが、見てみましょう。



実際には、省略した部分にもう少し応用的な内容が含まれているため、この設例そのままでは解けない問題ではありますが、ベースとなる知識としては、どちらの科目の問題も、ご紹介した設例をベースにすれば解ける問題です。

このように簿記論と財務諸表論で共通した知識を学ぶことで対応できる内容が多いのにも関わらず、簿記論は簿記論、財務諸表論は財務諸表論でそれぞれの科目のテキストで触れ、それぞれの科目の講義で学ぶのは、どうしても効率が悪くなってしまい、学習量の多い税理士試験への対応が難しくなるおそれがあります。

そのため、基本となる知識のインプットと理解は、簿記論・財務諸表論の2科目を同時に学習することを前提とするのが効率的となります。

ですが、本試験で出題される形式や傾向は、簿記論・財務諸表論でそれぞれ特徴がありますので、その点を意識した問題演習をすべきです。
科目ごとの特徴を意識した問題演習に必要な時間を確保するためにも、知識のインプットのための学習時間を効率化できる簿記論・財務諸表論の同時学習が効果的といえるのです。


簿記論と財務諸表論、それぞれの科目の特徴

簿記論と財務諸表論の2科目で必要な知識の多くが共通しているものの、もちろん相違点もあります。
その相違点、言い換えるとそれぞれの科目の相違点をざっと確認しておきましょう。

簿記論の特徴

仕訳を問う問題が多い

簿記論の本試験では、仕訳そのものが問われるケースが多々あります。

仕訳そのものは簿記論・財務諸表論ともに基礎的な知識ではありますが、仕訳そのものが問われる場合、時系列で順を追って仕訳を答えさせる問題や、当事者双方の仕訳(例えば、有価証券の買い手と売り手、リースの借り手や貸し手など)を答えさせる問題が出題される可能性もあり、体系的に理解しておく必要があります。

帳簿の知識が必要となることがある

企業が使用する帳簿(仕訳帳や総勘定元帳など)の記入や関連性に関する問題が出題される可能性があるのも、簿記論の大きな特徴です。

帳簿同士はお互いに検証できるような記帳をするのが原則であるため、この性質を使って、空欄となっている帳簿の記録を推定して解き進めるような問題も、過去の本試験で出題されたことがあります。

平成28年度に実施された日商簿記検定の出題区分表改定により、2級の範囲から特殊仕訳帳が削除されたことも影響し、近年の2級以上の日商簿記検定では帳簿に関する問題を見かけなくなりました。
それ故、日商簿記からステップアップされる方の多くが、帳簿に関する知識があやふやになっている可能性もあるため、税理士試験の簿記論受験にあたっては、しっかりと押さえておく必要があります。

財務諸表論の特徴

理論問題が必ず出題される

税理士試験では、第一問と第二問、配点でいうと100点満点中50点分が会計理論に関する問題で構成されています。

典型的な理論問題では、まず始めに、会計基準の文章の一部が空欄になっており、その空欄に適する語句を補充する問題が出題されます。
専門用語は漢字で正しく書ける必要があるのは当然で、前後の文章から適する用語が何かを判断する知識も必要となります。

空欄補充以外で典型的な出題は、3~7行程度の文章で設問に対して解答する問題です。
会計処理の中には、理論的に複数の方法が考えられるものの、会計基準でその中から特定の1つの方法で処理することが定め<られたものが数多くあります。
財務諸表論の論述問題では、なぜ会計基準がその処理方法を採用したのか、反対に、なぜ別の会計処理方法は会計基準で採用されなかったのかといったことが問われることもあります。

すなわち、計算問題では採用してはいけない、会計基準で定められた方法以外の会計処理に関する知識も必要となる点が大きな特徴ですし、日商簿記1級や全経簿記上級とも異なる点といえます。

財務諸表(会社法の計算書類)の深い知識が必要

財務諸表論の第三問で出題される計算問題は、与えられた資料に基づき決算整理事項等を行った上で、貸借対照表や損益計算書などの財務諸表を作成する問題が出題されます。
その財務諸表は、基本的に会社法上の計算書類の形式で作成されることが求められるため、正しい会計処理はもちろんのこと、会社法(会社計算規則)が定める表記上のルールを知っておく必要があります。

加えて、簿記検定などの財務諸表作成問題では出題されることは滅多にない注記(貸借対照表や損益計算書などの情報を補足する記載)に関しても出題されることが多々あります。
注記の表記例とともに、注記に記載する金額をどのように計算・集計するのかも、対策する必要があります。


「簿記論と財務諸表論でこんなに違うんだったら、やっぱり別々に勉強した方がいいんじゃない?」と思われるかもしれませんが、実は同時に学習することで、相乗効果が期待できる可能性もあります。
この辺りは、後編でご説明いたしますので、お楽しみに。

お知らせ

ネットスクールの税理士WEB講座では、「簿記論・財務諸表論」を同時に学習する一体型カリキュラムを採用した初学者向けコース『標準コース』の受講受付中です。
日商簿記2級レベルの学習経験をお持ちの方を対象としたコースですので、これから税理士試験に挑戦予定の方は、ぜひご検討下さい(税理士試験の受験には受験資格が必要です。詳しくは、国税庁ホームページをご覧下さい。)

税理士試験必修教科書 簿記論・財務諸表論1 基礎導入編

  • 製造元:
    ネットスクール株式会社
  • 定価:
    3,240円(税込)
  • ISBN:
    978-4-7810-3611-3

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