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簿記論・財務諸表論の同時学習とは?(後編)



前回の記事では、簿記論と財務諸表論の学習内容の共通点と、科目ごとの特徴をご紹介しました。

どちらの科目にも共通した内容が出題されるケースがあることを考えると、簿記論・財務諸表論の同時学習にある程度の合理性があるようにも思えたかもしれません。
ですが、その反面、それぞれの科目の特徴を見ると、簿記論にとっては財務諸表論の理論の学習が、財務諸表論にとっては簿記論の帳簿や仕訳に関する学習が、それぞれ意味のない大きな負担になるように思えるかもしれません。

確かに、それぞれの科目に特徴的な内容は、もう一方の科目でダイレクトに出題される可能性は低いです。
しかし、間接的に役に立ったり、どちらか1科目しか学習しない受験生に対してアドバンテージを作ったりすることも考えられます。

後編では、簿記論・財務諸表論の科目それぞれに特徴的な学習内容が、もう一方の科目にどのような良い影響を与えるのか、ご紹介していきましょう。

簿記論対策に理論の学習は不要?

簿記論と財務諸表論で大きく異なるのが、第一問と第二問の計50点分の理論問題が出題されるのに対し、簿記論では基本的に計算問題ばかりです。

そのため、簿記論と財務諸表論を並行して学習する場合、簿記論には関係なさそうな財務諸表論の理論問題対策の負担が、かなり効率性を下げてしまうように思われるかもしれません

確かに、理論問題の対策の負担が軽い訳ではありません。
ですが、決して簿記論の学習の邪魔をするようなことはなく、むしろお互いにとって相乗効果をもたらしてくれる可能性があることは、知っておいた方が良いと思います。

会計基準の内容は簿記論・財務諸表論共通

簿記論・財務諸表論の試験対策で学ぶ会計処理の多くは、「金融商品に関する会計基準」や「リース取引に関する会計基準」など、「会計基準」というルールで規定されているものが大半です。

この会計基準そのものは、簿記論の問題であっても財務諸表論の問題であっても、同じ取引は同じ会計基準に則って処理される訳ですから、最終的に覚えるべき知識の根っこは同じものとなります。

また、財務諸表論の受験対策として学習する際には、単に会計処理の方法が会計基準でどのように規定されているのかといったことのみならず、設定の背景まで学習するため、会計処理の本質的な考え方や目的なども学んでいくことになります。

したがって、「簿記論では計算問題がほとんどだから、仕訳や計算ができれば良い」とはいうものの、会計基準で書かれている会計処理の本質や目的も押さえておくことで、会計処理をしっかりと理解したり、応用的な問題に対応するための思考力を身に付けたりすることができます

また、第62回の簿記論の試験では、発行した社債に関する会計処理について受験生に論述させる問題が出題されたこともあり、「簿記論は計算問題ばかりだと思った」と考えていた受験生の多くが驚いたということもありました。

こういったケースは珍しいケースだと考えられますが、日頃から理論的な背景や論述の対策が必要な財務諸表論も並行して学習されていた受験生にとっては、簿記論だけの学習をされていた受験生に比べて、解答しやすかったのではないかと思われます。

このようなことを踏まえて考えると、決して負担にならないとは言えないものの、財務諸表論と並行して学習することにより、簿記論でもアドバンテージを作ることができる訳ですから、かなり高い学習効果がきたいできるといえます。


帳簿や勘定記入の知識は財務諸表論には不要?

一方、財務諸表論ではほとんど出題されないものの、簿記論で頻繁に出題されるものとして、>strong style=”color:#f00;”>仕訳問題と帳簿や勘定記入に関する知識が挙げられます。

理論問題の対策も行わなければならず、負担の大きい財務諸表論の学習を並行する際に、簿記論で必須となる仕訳や帳簿・勘定記入の知識は、一見すると余計なものに思えるかもしれません。

しかし、財務諸表論の第三問で出題される財務諸表の作成問題にあたって、決算整理仕訳はもとより、期中に未処理だった事項への対応や誤処理となっていた記録の修正を行う際には、決算整理仕訳だけでなく期中取引の仕訳に関する知識も必須となります。

また、財務諸表の作成問題は、基本的に決算整理前残高試算表の情報と決算整理事項に関する資料に従って解いていくことになるのですが、資料に与えられている決算整理前残高試算表に記された残高(金額)の意味を正しく理解するためには、期中に行われた仕訳と勘定への転記の経緯を想像する力が必要となります

オーソドックスな問題であれば混乱するケースは少ないのですが、期中の処理が複雑であったり、未処理や誤処理があったりした場合には、決算整理前残高試算表が示す金額の意味をその都度推測しなければならないため、難易度がぐっと高くなります。

このような時に、簿記論を並行して学習しておくと、簿記論の対策で確認している仕訳や帳簿・勘定記入の知識を活用することで、財務諸表論の問題で与えられた資料の意味を読み解ける可能性が高くなるのです

帳簿記入や勘定への転記に関する知識は、簿記の学習のスタート(日商簿記3級など)で必ず学習するかと思いますが、各種簿記検定では級が上がっていくにつれて、これらをダイレクトに問う問題が少なくなるため、だんだんと頭の中から抜けていきがちになります。

日商簿記1級や全経簿記上級を学習された経験がある方でも、苦手にされる方が多い部分であるからこそ、簿記論と並行して学習することで、帳簿記入や勘定への転記に関する知識を復習することができるため、財務諸表論の計算問題における資料の読解力向上も期待できるメリットがあります。

最後に

もちろん、既に税理士試験の受験を経験されていて、簿記論・財務諸表論のいずれかの科目に合格されているのであれば、もう1科目の合格に専念することになります。

ですが、これから税理士試験に向けた学習を始めようとされる方の多くは、日商簿記や全経簿記など、何かしら簿記の学習経験をお持ちの方でしょうから、馴染みのある簿記論と財務諸表論の受験を最初に検討されることと思います。

その際に、「どちらか1科目に…」ということではなく、学習内容の多くが共通していること、そして、お互いの科目特有の事情が一見無駄に見えても実は他の受験生に対するアドバンテージを作るきっかけになり得ることなどを考えると、簿記論・財務諸表論の2科目同時学習を始めることをお勧めします。

ネットスクールの税理士試験対策書籍やWEB講座は、簿記論・財務諸表論の2科目同時受験を想定したものになっていますので、ぜひご利用をご検討下さい。

税理士試験必修教科書 簿記論・財務諸表論1 基礎導入編

  • 製造元:
    ネットスクール出版
  • 定価:
    3,240円(税込)
  • ISBN:
    978-4-7810-3611-3

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