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合格率が低かった第147回と第114回の日商簿記1級試験…



第147回日商簿記検定1級の受験者データ発表

平成29年11月19日に実施された第147回日商簿記検定1級の受験者データが公表されました。

気になるデータは次のとおりでした。

  • 受験者数:10,675名
  • 実受験者数:8,286名
  • 合格者数:487名
  • 合格率:5.9%

合格された皆様、おめでとうございます!

今回の合格率は6%を下回り、概ね10%前後で推移する日商簿記1級の合格率としては比較的低い数字となりました。

そこで今回の記事では、これまでの日商簿記1級の合格率の推移を見ながら、合格率がイレギュラー的に低い数値となった回について、少し振り返ってみたいと思います。

第101回から第147回までの日商簿記1級合格率の推移

日本商工会議所の公式サイトに掲載されている第101回(平成14年6月9日実施)から直近の第147回まで、1級が実施されない2月の試験を除いた33回分の合格率の推移を折れ線グラフにまとめたものが下図となります。

ちなみに、「平均」とあるのは第101回から第147回までの実受験者数と合格者数の累計から求めた平均合格率で、約10.2%となっています。

折れ線グラフを見ても分かるとおり、時期によって多少の偏りや傾向はあるものの、基本的には平均合格率に近い10%前後の合格率で推移する試験です。

合格率が10%台になることもあれば50%前後になることもあり非常に合格率の変動が大きい日商簿記2級・3級と比べれば、日商簿記1級の合格率の変動はかなり緩やかなものだといえます。

これに加え、日商簿記1級のみ受験日から合格発表まで相当の日数を要することが、一般的に日商簿記1級が受験者の解答状況を踏まえて合格率が一定水準となるように採点の調整を行っているという根拠ともなっています。

このことから、日商簿記1級については多くの受験生が解けないような難解な問題などに時間を費やすべきではないといわれる所以です。

第114回はどんな問題?

さて、前掲のグラフを見てみると、際立って合格率が低い回に注目してしまうことと思います。 合格率が3.5%だった第114回(平成18年11月19日実施)試験です。 第101回以降の日商簿記1級の合格率では、現時点で最も低いものですし、その前後の第113回・第116回の合格率がともに13%を超えていることも踏まえてみると、かなり特筆すべき試験だったといえるでしょう。

どんな問題が出たのか気になるところだと思いますので、簡単にご紹介したいと思います。

商業簿記

商業簿記では、決算整理前残高試算表に基づいて決算整理を行い、損益計算書の作成と貸借対照表の一部項目の金額を解答するという、形式的には比較的普通の内容が出題されました。

ただ、決算整理前残高試算表の一部項目が明示されておらず推定しなければならなかったり、為替予約の予定取引に関する仕訳を解答させたりと、少し戸惑ってしまうような内容もありました。

また、当時としては初めて、のれんを含む減損会計の処理が問われたことも特筆すべき点で、この部分で時間を使いすぎたり動揺したりしてしまった受験生も多かったのかもしれません。

会計学

会計学では、第1問で会計基準の用語補充問題、第2問で連結キャッシュ・フロー計算書、第3問で企業結合(合併と株式交換)が出題されました。

第2問の連結キャッシュ・フローと第3問のうち株式交換は、こちらも第114回当時としては出題実績が乏しいもしくは初めての内容だったため、対策が十分でなかった受験生も多かったのかもしれません。

ですが、第2問では個別キャッシュ・フローの知識も、第3問では合併に関する出題もされていたため、オーソドックスな内容について落ち着いて解くことが必要な問題だったと言えるでしょう。

工業簿記

工業簿記ではロット別個別原価計算と、同じ資料で組別総合原価計算を適用した場合の勘定記入に関する問題が出題されました。

2種類の材料の仕入が5回ずつ、それに加えて、生産ロット(指図書データ)が製品A・製品Bともに11個ずつ、加えて第1工程から第3工程まで設けられていました。

初めて出題された形式だったことに加え、初めて見る形式の資料のデータ量が膨大であったことが特徴的な問題でした。

すべての生産ロットについて素直に集計すれば解けないこともないのですが、合計22個の指図書のデータを素直に集計しては時間が足りないため、勘定記入に必要な情報(月初・月末仕掛品原価など)を中心に効率的に集計する方法を試験中に見つけなければならない問題だったため、多くの受験生が苦労したものと思われます。

原価計算

原価計算では設備投資の意思決定に関する内容が第1問と第2問の2問構成で出題されました。

第1問では正味現在価値法による計算問題が出題されましたが、減価償却の方法が独特なケースであったり、方程式を解かなければならない問題が問われたり、かなり骨の折れる計算だったことが伺えます。

また、第2問では2つの投資案の割引率と正味現在価値の関係を示したグラフを読み取る理論問題が出題され、こちらも頭を悩ませてしまった受験生が多かったと思われます。

加えて、この回の原価計算は解答箇所が7箇所しかなかったため、1箇所の間違いが大きな失点となる可能性があったことも特筆すべきポイントでした。


第147回試験との共通点

では、第114回の試験問題と今回の第147回の日商簿記1級の問題で共通点はあるでしょうか。

第114回とともに見返してみると、
  • 商業簿記での仕訳
  • 会計学での企業結合や事業分離に関する問題
  • 工業簿記でのロット別個別原価計算
などが共通点として挙げられます。

特にロット別個別原価計算などはそれほど頻繁に出題される内容でもないため、日商簿記1級受験生の方々にとっては、鬼門と言える存在なのかもしれません…。

…と、第114回・第147回という合格率が低い2回の問題を取り上げましたが、その他の31回の試験の合格率は、8%を超えており、回によっては13%以上となっています。

繰り返しになりますが、日商簿記1級の合格率は概ね10%前後となる傾向にあるため、あまりイレギュラーなケースに囚われすぎず、まずは他の受験生も解けないような難解な問題が合否を分ける可能性は低いということを念頭に学習を進めていくことをお勧めします。

全経簿記上級受験もご検討を

今回の試験で残念な結果となってしまった方、特に税理士試験の受験資格として日商簿記1級の合格が必要となる方には、2月18日に実施される第189回全経簿記上級試験の受験をお勧めします。

出題範囲は日商簿記1級とほぼ同じで、合格することで税理士試験の受験資格が得られる点も共通しています。
受験の申込みも1月22日(月)まで受け付けていますので、6月試験でのリベンジに向けたモチベーションや実力維持のためにも、ぜひご検討下さい。

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