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工業簿記から学ぶ日商簿記2級



日商簿記2級の商業簿記と工業簿記

日商簿記2級は3級と同様に第1問から第5問で構成されており、大問1問につき20点の配点が振られています。

第1問から第3問までが商業簿記の分野、第4問・第5問が工業簿記の分野からの出題となりますので、商業簿記の配点が60点工業簿記の配点が40点ということになります。

このような構成の試験で70点の合格点を目指す訳ですから、一見すると商業簿記の方が得点源になりそうです。
また、工業簿記は2級で始めて学習する分野ですから、そこで高得点を取るのは難しそうという考えから、どうしても後回しにしてしまいがちです。

ですが、科目の性質や近年の傾向を踏まえると、商業簿記ではなく工業簿記から学習を始め、工業簿記を得点源にした方が、合格が近づく可能性が十分にあります
今回は、この点について解説していきたいと思います。

工業簿記から始める利点

難化する商業簿記への対応

すでに本サイトでも記事をいくつか掲載しているとおり、平成28年度から平成30年度までの3年間にわたって、日商簿記2級の商業簿記の試験範囲が毎年改定されており、どんどんと広がっています。

その中には、以前は日商簿記1級の試験範囲だったものも多く、この3年間で新たに商業簿記の試験範囲に加わった内容を簡単に列挙すると、以下のとおりとなります。
  • クレジット売掛金
  • 電子記録債権・債務
  • 有形固定資産の割賦購入
  • 圧縮記帳
  • ソフトウェア(自社利用のもの)
  • 子会社株式・関連会社株式・その他有価証券
  • リース取引
  • 外貨建取引
  • 役務収益・役務費用
  • 税効果会計
  • 製造業を営む会社の決算
  • 連結会計 etc…

もちろん、これだけ内容が増えた訳ですから代わりに日商簿記2級の試験範囲から除外されたものもあるのですが、除外された内容と新たに加えられた内容を比較すると、圧倒的に加わった内容のものの方が多く、また、これまで1級の範囲だったものも多いためか、それぞれの学習内容もやや複雑なものが増えています

加えて、これらの出題範囲の変更に伴い、特に第2問の出題傾向が大きく様変わりをしており、これまでは過去に出題された類似問題の解き方をマスターすれば高得点が狙えた問題が多かったのに対し、最近では新しい出題傾向も増え、基礎の正しい理解と応用力が問われるようになっています。

このように、商業簿記に関しては数年前と比べると出題内容の平均レベルが明らかに上がっています

それに対して工業簿記は、出題範囲は変更なく、難易度も(回によって多少の変動はもちろんありますが)際立って難しくなっているという傾向はみられません

工業簿記は配点は低いものの商業簿記よりも高得点を狙いやすい現状を考えると、先に工業簿記を学んでおいて高得点を獲得するのも日商簿記2級の有効な攻略法の1つといえます。

「工業簿記」という科目の性質と得点

加えて、工業簿記という科目が本来持っている性質も、工業簿記から学んだ方が良い理由の1つといえます。

商業簿記と工業簿記の科目の性質を、学習時間と本試験で獲得できる得点の関係でざっくりと図示すると以下のようなイメージで表すことができます。


日商簿記3級で商業簿記分野の学習をされて試験問題も解いた方はある程度イメージできるかと思いますが、商業簿記で出題される仕訳の問題や決算の問題は、たとえ全てを完璧に理解していなくても断片的に得点をすることが可能で、日商簿記2級の商業簿記の問題も同じことが言えます。

例えば、3級と同じ形式で出題される2級の仕訳問題は、異なる分野から5題の仕訳問題が出題されるため、仮に分からない問題や難しい問題があってもその他の問題で正解できれば、正解数に応じた点数を得られます
また、決算に関する問題も、仮に決算整理仕訳で分からないものがあったとしても、他の決算整理事項を正しく処理できれば、(当期純利益まで合わせることはできなくとも)部分的に得点することができます

一方、日商簿記2級で初めて学ぶ工業簿記は、商業簿記のように断片的な部分点を取ることが難しく、体系的にしっかり理解している受験生は満点近い点数が取れるのに対し、理解があやふやな受験生はほとんど点数が取れないという二極化してしまう傾向があります

この背景には、前述のような科目ごとの性質を無視して商業簿記の方から学習する受験生の中に、スケジュール的な無理が生じた結果、後で学ぶ工業簿記に十分な学習時間が取れずにしっかりとした理解ができないまま本試験を迎えてしまい、工業簿記で得点できずにいるということも考えられます。

このような商業簿記と工業簿記の性質を踏まえて考えれば、まずは工業簿記から学習を始めてしっかり得点源にするとともに、商業簿記で得点できる部分を徐々に増やしていく(積み重ねていく)という戦略で学習した方が、本試験での得点力を高くすることが期待できるのです。

工業簿記から学ぶ上での留意点

日商簿記2級の工業簿記の内容は、基本的に2級の商業簿記の範囲を前提としない内容がほとんどであるため、商業簿記と工業簿記の順番を入れ替えてもそれほど大きな問題はないはずです。

ただ、いくつか注意しておいた方が良い点もあるため、ここでご紹介しておきます。

振替と勘定記入

工業簿記は、学習が進むにつれて複雑な計算が登場してそちらばかりに意識が向きがちですが、工業簿記という名前からも分かる通り、ベースは簿記ですから、帳簿の記入や仕訳に関する問題も頻繁に出題されます

また、工業簿記で登場する仕訳の大半が振替仕訳であることも大きな特徴です。 振替仕訳は、3級でも決算時の処理などで学んでいるかと思います。

「何をやっているのか」を意識する

工業簿記の大きな目的は、製造業で作られる製品がいくらのコストで作られたのかを計算することです。

そのために、いくつかの段階を踏んで計算をしたり、その過程を帳簿に記録したりする訳ですが、段々と学習が進んで内容が込み入ってくると、前後関係が分からなくなって「何のためにこの計算を行っているのか」という目的を見失ってしまいがちです。

ですが、そうなってしまうと工業簿記の内容を正しく理解できなくなってしまいます。

今学習している内容や解いている問題が、コストを計算するどの段階のものなのかを常に意識するように心掛けると、工業簿記の理解もぐんと深まるはずです。


商業簿記と工業簿記は、人それぞれ得意・不得意があるため、必ずしも全ての人に最善の順番ではないかもしれませんが、これから日商簿記2級の学習を始める方は参考にしてみてはいかがでしょうか。

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新しい出題範囲に加え、出題傾向も変わっているものの、それに応じて合格者の価値が上がることも期待できるのが日商簿記2級です。
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日商簿記2級に“とおる”テキスト 工業簿記

  • 製造元:
    ネットスクール出版
  • 定価:
    1,944円(税込)
  • ISBN:
    978-4-7810-3219-1

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