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2019年度(平成31年度)から日商簿記1・2級はこう変わる



日商簿記検定出題区分表改定のお知らせ

2018年4月2日、日本商工会議所より「平成31年(2019年)度以降の簿記検定試験出題区分表の改定等について」が公表され、平成31年(2019年)度以降の簿記検定試験の変更点が明らかになりました。
今回も出題区分表(≒試験範囲)の変更のメインは3級であるため、先日の記事では3級の変更点について取り上げました。

ただ、実際には1・2級の試験範囲も限定的ではありますが変更が加えられていますので、今回の記事では、1・2級の変更点や影響が及びそうな内容を簡単に確認していきましょう。

3級の変更の影響が1・2級にも及ぶもの

出題区分表で3級の内容となっているものは、基本的に1・2級の試験範囲にもなります

そのため、3級の変更内容は1・2級にも影響が及んでくるため、まずは3級の変更点の中で1・2級にも影響のありそうなものを簡単に確認しておきましょう。

消えていくもの

日商簿記3級も(小規模な)株式会社を前提とした出題に変更されるため、個人商店を前提とした取引(引出金など)は日商簿記3級はもとより、1・2級の出題範囲から除外されていくことになりますが、過去の出題実績に鑑みても、この影響はそれほど大きくないでしょう。

ただ、従来は2級以上でも出題されていた3級の内容(個人商店に関する取引以外の内容)の中で、2019年(平成31年)度から削除される代表的な項目として、次の2つが挙げられます。
  • 売上値引・仕入値引
  • 繰越試算表
これらは、3級だけでなく、日商簿記検定1~3級の出題区分表(試験範囲)全体から削除されたものなので、当然ながら2019年6月以降は1・2級でも出題されないものとなります。

また、内容自体は削除されるものではありませんが、「収益・費用の繰延と見越」は「収益・費用の前払い・前受けと未収・未払い」という表現に改められ、試験問題でも『繰延』と『見越』という表現は使わないようになるそうです。

加えて、一般的な消耗品については、購入時に資産計上して決算時に使用分を費用に振り替える方法は出題されなくなり、購入時は費用計上して決算時に未使用分を資産(貯蔵品勘定)に振り替える方法に限定して出題されることになります

新たに加わるもの

複数の預金口座を開設している場合の管理

実務上、企業が開設している預金口座は1つに限らず、複数の当座預金口座や普通預金口座を開設しているのが通常です。

その場合、補助簿を用いた管理ではなく、「普通預金」勘定の代わりに「普通預金NS銀行」のように銀行名を付した勘定科目を使用した記帳を行って管理することもあるため、このような銀行名を付した勘定科目を使った処理が試験範囲に加わることが明示されました。

これは3級の範囲の変更となっていますが、当然ながら2級以上でも出題される可能性があり、2級の第2問や第3問、1級の商業簿記などで複数の銀行口座を扱う問題が出題される可能性もゼロではないと言えるでしょう。

差入保証金の処理

今まで明示されていませんでしたが、店舗の賃借などで支払う敷金のような保証金の処理が3級の試験範囲として加わりました。
これも3級の試験範囲になるということは、自動的に1・2級の試験範囲に加わることにもなります。

また、保証金の種類によっては長期前払費用と同じように定期的に償却(費用化)するものもあり、この処理は2級以上の出題範囲となります。

1・2級の試験範囲で新たに加わるもの

総記法による売買目的有価証券の記帳(1級)

売買目的有価証券は、通常の商品のように短期的に取引が繰り返されるものであるため、商品売買と同じように総記法により記帳が実務では一般的なようです。
そのため、総記法による売買目的有価証券の記帳が1級の試験範囲に加わることになります。

なお、2級には「分記法」が明記されていますが、これは従来通りの売買目的有価証券の処理方法として試験範囲に入ってきたものなので、実質的な変化はなく、1級の試験範囲と明確に区別するために明示されたものにすぎないため、ご安心下さい。

債権の譲渡(1・2級)

受取手形や電子記録債権の裏書や割引に加え、実務では資金調達のために様々な債権の譲渡(売却)が行われるようになってきています。

それに合わせて、2級では受取手形や電子記録債権の裏書譲渡・割引だけでなく、その他の債権の譲渡簡単なものに限り試験範囲に加わることになります。

また、1級では更に高度な内容として、債権譲渡に伴う買戻・遡及義務の計上・取崩が試験範囲に加わることが明示され、手形の裏書などで生じる保証債務に関する内容もこの表現の示す範囲の中の項目として出題範囲に残ることになります。

ソフトウェア仮勘定

ソフトウェアについては、平成28年度(2016年度)の改定で1級の範囲から2級の範囲(厳密にいうと2級以上)へと変更になりましたが、今回の改定では、2級の出題区分表に開発中のソフトウェアに対して支払われた金額を処理する『ソフトウェア仮勘定』が新たに加わりました。

ただ、ソフトウェア仮勘定自体は第144回・第147回と既に2回の試験の第1問で出題されているため、「試験範囲が広がった」というよりも、「これまでに出題された内容が試験範囲であることを明示した」に過ぎないと言えるでしょう。

出題が当面見送られるもの・見直しを行う可能性があるもの

商品売買関係

2018年3月30日に公表された「収益認識に関する会計基準」は、収益認識に関する取扱いが全面的に整理・見直しされた内容になっており、普通の商品売買に加え様々な特殊性が加わった内容については、考え方や会計処理が大幅に変わる可能性があります。

そのため、割賦販売の回収基準・回収期限到来基準については2019年度の試験より出題区分から正式に削除されることになりました

また、3級の出題範囲から1級に移った自社発行商品券の処理についても、新しい会計基準の下での出題内容の検討が終わるまでの当面の間は出題が見送られることになっています。

リース取引

リース取引については、実務でも浸透している取引であるがゆえに3級の範囲に含める検討も行われたようです。

しかし、2016年に発表されたIFRS(国際財務報告基準)第16号「リース」の内容が、現行の日本の「リース取引に関する会計基準」とは大きく異なり、今後は国際的な会計基準の統合に向けて日本の「リース取引に関する会計基準」も大幅に改正される可能性が高くなっています。

そのため、今回行われた2019年度以降の試験範囲の改定において、リース取引に関しての変更は行われず従来通りという扱いになったものの、会計基準のコンバージェンス等の動向を踏まえ将来に見直しを行う可能性があることが明示されました。

最後に

繰り返しになりますが、これまで見てきた内容は2019年(平成31年)6月に実施される第152回試験からの変更点であるため、2018年度(平成30年度)、すなわち2019年2月に実施される第151回(1級は2018年11月に実施される第150回試験)までは、従来通りの試験範囲での出題となります。

ただ、変更時期の前後でのバランスを取る観点から、2018年(平成30年)度における出題は2019年(平成31年)度以降も各級の範囲となっている内容から大きく外れないよう配慮する旨がアナウンスされているため、2018年度の試験を受験される方で「3級は関係ないよ」という方も内容を軽く確認しておくと、多少なりとも学習の効率性がアップするはずです。

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