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今こそ読み直そう!第147回日商簿記1級の「講評」




日商簿記検定前の恒例となりつつある、前回試験の「講評」の見直し記事。今回は第149回日商簿記検定に向けて、第147回試験(前回の第148回試験では1級未実施)の講評を同様に振り返ることにしてみましょう。

日商簿記検定の「講評」は確認しましたか?

日商簿記検定では、試験が終わるたびに、それぞれの回がどういった趣旨で出題されたのかという「出題の意図」と、採点終了後の結果を踏まえた「講評」が日商簿記検定の公式サイトにて公開されています。

どちらも試験の主催者から発信される試験問題に対する公式コメントなので、受験される級の過去の「出題の意図」や「講評」はぜひチェックして頂きたいのですが、第147回日商簿記検定が間近に迫ったこのタイミングでは、とりわけ「講評」について注目しておきたいと思います。

「講評」では、その回の受験生の理解や対策が不十分だと思われるポイントがたびたび指摘されています
裏を返せば、そうやって指摘されているポイントの理解や対策が十分でない限り合格は難しいかもしれませんし、そこを乗り越えれば、出題者が考える「合格させたい受験生」のイメージに、最終的には合格に近づくかもしれません。

目前に迫った日商簿記検定に備え、今回は第147回日商簿記検定1級の出題の意図の中から、「GAINS!」編集担当者が気になるポイントをピックアップしていきたいと思います。

なお、出題の意図・講評の全文は以下のページにて閲覧できますので、気になる方はチェックしてみて下さい。 ※以下の引用文は、特に断りがない限り、第146回日商簿記検定1級「出題の意図・講評」の講評部分から引用したものとなります。

第147回日商簿記検定1級の「講評」で気になるポイント

商業簿記について

第147回日商簿記検定1級の商業簿記では、在外支店の換算を含む本支店会計の問題が出題されました。

本支店会計は連結会計の基礎ではあるものの、対策が十分な受験生は少なかったのか、出題者の意図していたほど正答率は高くなかったようです。

そのためか、講評は
第147回では、在外支店の外貨換算など一部難易度の高い論点を含んでいましたが、この部分を除けば本支店会計の基本的な論点の出題でした。ただ、本支店会計については2級で学習済ということで油断していたと推察される受験者がかなり多く見られました。今一度、本支店会計の仕組みをしっかりと理解しておくことを強く勧めます。
という書き出しで始まっています。

1級は学習すべき内容が非常に広いため、どうしても1級で新たに出題される内容や高度な内容に意識が集中しがちです。

ですが、1級の範囲には2級までの範囲も当然に含まれているという前提になっていますので、今回のようなケースも十分に考えられます。

※ただし、平成28年度からの日商簿記検定の出題区分表改定に伴い、2級の範囲に含まれる本支店会計の内容がかなり削られたので、今回のような本支店会計についても同じように考えてよいかという問題はありますが…。

その他、問3の決算整理後残高試算表の作成問題については、次のように述べられています。
セール・アンド・リースバック取引、200%定率法による減価償却および貸倒懸念債権に対する引当金の設定などといった、これまでに何度も出題されてきた論点が身についているか否かを確認する内容でした。日々の練習量の差がそのまま正解率に繋がっているように見受けられました。
初見の内容をスピーディーに、かつ、正確に解答は困難である分、比較的オーソドックスな論点できちんと点数を稼ぐことが日商簿記1級では大切です。

試験の直前では、そういった基本的でオーソドックスな内容に漏れや勘違いがないか、確認しておくことが良いのかもしれません。

会計学について

第147回日商簿記検定1級の会計学は3問構成となっていました。

第1問について

第1問では、財務諸表の表示や開示に関する知識を4肢1択で選択する問題が出題されました。
まっさらな状態から語句を書かせる問題と比較すれば解答しやすいはずですが、講評では
4肢1択の形式で出題しましたが、残念ながら正答率は思わしくありませんでした。実務的には常識的な知識ではありますが、実務経験のない学習者にとっては困難な問題であったかもしれません。
とあるように、思いのほか正答率は高くなかったようです。

理論問題の対策は難しいかと思いますが、重要な用語などはしっかりおさえておくことで、貴重な追加点を得られるはずですから、今一度、確認をしておきましょう。

第2問について

続いて第2問では、税効果会計に関する問題が出題されました。

税率変更があった場合の計算や表示が問われていたため、そこまで対策が出来ていなかった受験生にとっては、厳しい問題だったのではないでしょうか。

その点については、講評でも指摘されています。
税効果会計は、財務諸表の作成における最後の手続ですので、学習の手順上、どうしても学習が手薄となりがちな論点です。法人税等の計算に加えて、資産負債法に基づいた繰延税金資産・負債と法人税等調整額の基本的な計算を確認するだけの問題ではありますが、正答率はそれほど高くありませんでした。 でした。
ただ、講評でも書かれているとおり、基本的な計算に関しては税率変更があっても大きく変わる訳ではないため、本当であればしっかりと正解しておきたかったところといえるのではないでしょうか。
複雑な問題だったとしても、その中で比較的簡単であったり、基本的な計算で導き出せる数値がないかどうかは、出来る限り考えておくことをお勧めします。

第3問について

最後に第3問ですが、第3問では企業結合、具体的には株式分割により新会社を共同で設立する場合の個別上・連結上の処理が問われました。

多くの受験生が十分に対策するのは困難であったと思われる共同支配企業を形成するケースについては、正答率が高くなかったようですが、一方の企業が支配を獲得するケースについては、
一方の当事企業が支配を獲得するケースは、パーチェス法で会計処理を行いますが、その部分の正答率は比較的良好でした。
と書かれているとおり、正答率は比較的高かったようです。

日商簿記1級で頻繁に出題されている企業結合や組織再編に関する問題は、どうしても複雑に感じられて、苦手意識をお持ちの方も多いことと思います。
ですが、一見すると複雑な問題であっても、中には基本的な知識で解ける問題も用意されている可能性がありますし、そういった問題は多くの受験生が正解する可能性が高い訳ですから、そういった問題で失点しないことを心がけましょう。

工業簿記について

第147回日商簿記1級の工業簿記では、費目別計算部門別個別原価計算、そして品質原価計算に関する問題が出題されました。
前述の内容を一見すると易しい問題に見えるかもしれませんが、ロット別の計算も要求されており、その計算量などに圧倒されたのか、正答率はあまり高くなかったようです。

ただ、既にこの記事の商業簿記・会計学の部分でも述べているとおり、こういった問題は正攻法で解かなくても比較的容易に導き出せる解答箇所も用意されているもので、その点について、講評でも次のように述べられています。
すべてのロットについて個別に原価計算を行わずとも、勘定の流れがわかっていれば部分点をとれる問題でしたが、部分点をとれている受験者はそう多くはありませんでした。基礎的な能力が問われているので、あせらずに問題を読んで全体を理解してから、落ち着いて解答してください。
複雑に見える問題、計算量が多い問題であればあるほど、問題の全体像をしっかりと把握して、複雑な計算をしなくても導き出せそうな解答箇所はないかということを考えてから、計算していくことを心掛けていきましょう。

原価計算について

最後に原価計算です。

第147回日商簿記1級の原価計算では、第1問で連産品の原価計算、第2問でCVPの感度分析が出題されました。

第1問の連産品の原価計算では、減損の平均的発生に関する理解が十分でない受験生が多かったのか、1箇所を間違えると連動して他の問題でも間違えてしまうような格好になった答案が多かったようです。
また、連産品の追加加工の意思決定において、連結原価が埋没原価となることについても、間違っていた答案が予想以上に多かったとのことです。

また、第2問については、よく解けている答案とそうでない答案の差が大きかったようで、
問題文全体を的確に読みこなす能力が必要です。
というアドバイスとともに、講評が締めくくられています。

最後に

第147回の日商簿記1級は、合格率が5.9%と、普段であれば10%前後となっている合格率と比べると、低い合格率になっていたのが特徴的です。

その背景として、今回取り上げた『講評』から推測すれば、おそらくしっかりと解くべき問題で正答できている受験生と、そうでない問題や計算で時間や意識を取られて得点が積み上げられなかった受験生との差が大きかったのではないかと見ることもできるのではないでしょうか。

自分の出来具合は日々の勉強や模試などで把握されているかと思いますが、他の受験生や出題者の状況は、こういった「講評」で確認するしかありません。
学習の合間にでも、全文を一度読んでみてはいかがでしょうか。

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