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意思決定会計から学ぶ日商簿記1級



10月19日に大きくリニューアルして発刊となった『サクッとうかるシリーズ』の日商簿記1級工業簿記・原価計算編ですが、最も大きな変更点であり、かつ、その他の類書や日商簿記1級講座では見られない特徴が、意思決定会計から学び始めるよう学習順を大胆に見直したという点です。

一体なぜ、このようなリニューアルを実施したのか、これから日商簿記1級の学習を始めようかと検討中の方に、意思決定会計とは何なのかといったところから、この記事でご案内します。

意思決定会計とは…?

意思決定会計とは、ざっくり言えば、企業の経営において行われる様々な意思決定、すなわち判断を行うために必要な金額的な情報・データを整理・計算する原価計算だとお考え下さい。

※ちなみに、「頑張って日商簿記1級に合格するぞ!」といった強いこころざしを意味する『』ではなく、もっと広い意味での判断を意味する『』の字を使います。皆さんの生活の様々な判断、「今日の夜は○○を食べよう」とか、「この辺でゲームはやめておこう」というのも『』といえるでしょう。

日商簿記検定では、企業のビジネスシーンを想定して、次のような状況に関する意思決定会計がよく出題されています。
  • 新規の顧客から自社の製品を購入したいという相談に応じるか否か
  • 生産効率を上げるため、今よりも品質の良い効果な材料に切り替えるか否か
  • 人手に頼っていた作業を機械化するための設備を購入するか否か
  • 生産が追い付かない人気製品の増産のために設備を追加するか否か

これらの判断がすべて「意思決定」となる訳ですが、企業である以上、究極的な目的は「利益を増やすこと」ですから、単なる思い付きやニュアンスではなく、その意思決定が利益につながるかどうかをきちんと検討しなければなりません
そのために会計的な視点で、利益につながるかどうか金額的な評価をするのが、意思決定会計という訳です。

もちろん、実際のビジネスシーンでは、金額では割り切れない要素も考慮しなければなりません。例えば、環境問題やであったり、従業員の安全や士気(モチベーション)の確保であったり、消費者からの評判であったりも考慮する必要があります。
「こっちの判断の方が儲かるから」といって、環境問題や安全面の配慮を欠くような意思決定をしてしまうと、長期的に見ると会社にとってマイナスです。

ですが、そうした金額では割り切れない内容は試験に出題しづらいですし、あくまでも金額的な検討がしっかりできた上でその他の要素を考慮すれば良い訳ですから、あくまでも金額的な評価に終始する『意思決定会計』について、日商簿記1級の試験勉強として学んでいくことになります。

意思決定会計から学ぶ意義

そんな意思決定会計ですが、日商簿記1級の原価計算では1,2を争うほど、頻繁に出題されている内容です。

第123回から第146回までの約8年間(計16回)の試験の中で、意思決定会計に関する問題はその半分の8回も出題されています。
(全経簿記上級の原価計算でも、概ね2回に1回程度のペースで意思決定会計に関する問題が出題されています。)

日商簿記では3回も連続で出題されたこともあるくらいの頻度で登場する意思決定会計ですが、多くの書籍・講座では最後の方で学ぶように章立てやカリキュラムが組まれています

しかも、商業簿記・会計学を一通り学習したあとに工業簿記・原価計算へと移った方にとっては、本当に最後の最後に学ぶ内容となってしまうため、どうしても試験が近づいて時間に追われたり、それまで学んだ内容の負担が重かったりするために、注力しづらくなる傾向があります。

しかし、意思決定会計を学ぶ上で必要とする前提知識の多くは、日商簿記2級の工業簿記で学んだことであり、1級レベルの工業簿記・原価計算のテキストに載っているその他の内容を学習していないからといって、必ずしも理解できないという内容ではありません

また、意思決定会計で学ぶ内容は、試験の合格に関わらずビジネスシーンで最も有用な知識の1つと言われています。
営業担当の方であれば「この案件はいくらまでであれば受注すべきなのか」といった判断、購買担当の方であれば「引き続き、この仕入先から材料を仕入れてよいのか」といった判断、そして経営者として「この投資を行うべきか否か」といった判断など、日々より良い判断を必要とする職種であれば、経理職でなくても活用できるのが、意思決定会計の知識です。

しかし、残念なことにネットスクールの書籍の販売数などを見る限り、せっかく日商簿記1級の学習を始めても、意思決定会計に辿り着く前に挫折してしまう方が多くいらっしゃるようで、非常にもったいないという想いがありました。

そのため、『サクッとうかる』シリーズのリニューアルにあたって、工業簿記・原価計算編では思い切った取り組みとして、試験対策においても実務においても非常に有用な意思決定会計から学んで頂けるような構成に大幅な見直しを実行いたしました。

日商簿記2級ではほとんど触れてこなかった内容から学習する形となりますが、かえって新鮮な気持ちで、実務にも役立つ知識から学べるため、きっとモチベーションも上がるのではないかと期待しています。

これから日商簿記1級に挑戦しようとする方は、ぜひこの順番での学習も検討してみてはいかがでしょうか。

サクッとうかる日商1級 工業簿記・原価計算 基礎編1 テキスト

  • 製造元:
    ネットスクール出版
  • 定価:
    1,800円(税抜)
  • ISBN:
    978-4-7810-1169-1

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