お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

今こそ読み直そう!第149回日商簿記1級の「講評」




日商簿記検定前の恒例となりつつある、前回試験の「講評」の見直し記事。今回は、11月18日に実施される第150回日商簿記検定に備え、第149回試験の講評を同様に振り返ることにしてみましょう。

日商簿記検定の「講評」は確認しましたか?

日商簿記検定では、試験が終わるたびに、それぞれの回がどういった趣旨で出題されたのかという「出題の意図」と、採点終了後の結果を踏まえた「講評」が日商簿記検定の公式サイトにて公開されています。

どちらも試験の主催者から発信される試験問題に対する公式コメントなので、受験される級の過去の「出題の意図」や「講評」はぜひチェックして頂きたいのですが、第147回日商簿記検定が間近に迫ったこのタイミングでは、とりわけ「講評」について注目しておきたいと思います。

「講評」では、その回の受験生の理解や対策が不十分だと思われるポイントがたびたび指摘されています
裏を返せば、そうやって指摘されているポイントの理解や対策が十分でない限り合格は難しいかもしれませんし、そこを乗り越えれば、出題者が考える「合格させたい受験生」のイメージに、最終的には合格に近づくかもしれません。

目前に迫った日商簿記検定に備え、今回は第149回日商簿記検定1級の出題の意図の中から、「GAINS!」編集担当者が気になるポイントをピックアップしていきたいと思います。

なお、出題の意図・講評の全文は以下のページにて閲覧できますので、気になる方はチェックしてみて下さい。 ※以下の引用文は、特に断りがない限り、第149回日商簿記検定1級「出題の意図・講評」の講評部分から引用したものとなります。

第149回日商簿記検定1級の「講評」で気になるポイント

商業簿記について

第149回日商簿記検定1級の商業簿記では、連結財務諸表を作成する総合問題が出題されました。

純利益と包括利益との関連性や株式の追加取得に関する内容も問われ、個別財務諸表上の処理と連結財務諸表上の処理の違いをしっかりと理解しているかどうかが試される問題でした。


ただ、連結財務諸表の作成に関する総合問題は日商簿記1級でも頻出の内容であるためか、講評では、
連結財務諸表の作成に関する知識と応用能力を備えた受験者にとっては、解きやすい問題であったと思います。とくに財務諸表相互の関連性について正確に理解をしていれば、ほぼ自動的に解答が導き出されるような部分もあり、一定程度の高得点者が存在しました。
という書かれており、第149回レベルの連結財務諸表作成問題では、高得点を獲得する受験者が多いことをうかがい知ることができます。

ただ、連結財務諸表作成の総合問題では、理解が曖昧だったり、小さなミスを犯してしまったりすることで、結果として大きな失点に繋がる恐れもあります。
そのせいか、受験生の間で得点に大きなばらつきがあったことも講評に書かれています。

また、講評の最後には、
商業簿記では、あいまいな知識のままではなかなか高得点に結びつけることができません。一つの会計処理でも、単にそれを再現できるだけでなく、その意味を多面的にかつ深く掘り下げて理解するように心がけてほしいところです。
と、受験生への要望が書かれています。

これは連結財務諸表の問題に限らず商業簿記全般に言えるもので、自分が受験する回では、過去問題で解いた内容と同じ論点でも、時系列が異なっていたり、会計処理方法が異なっていたり、相手方の取引が問われたりと、異なるアプローチで出題される可能性も十分にあります。

そうした内容は、適宜テキストを見直して復習を心がけるとよいでしょう。

会計学について

第149回日商簿記検定1級の会計学は3問構成となっていました。
第1問は会計用語の空欄補充問題、第2問は個別及び連結上の退職給付会計に関する計算問題、第3問はのれんを含む減損会計に関する計算問題という内容です。

この中の講評で特に気になったのが、第3問の減損会計に関する計算問題です。

講評には、次のように書かれています。
答案の中には、企業結合が出てきただけで問題をよく読まずに解答を断念してしまっているものも少なからず見られました。少しもったいない気がします。逆に、一度でもこの種の問題を解いたことがあると思われる受験者はかなり得点を稼げたようです。
この問題に限ったことではありませんし、実は第149回の工業簿記にも該当はしますが、受験生の方の中には問題文に登場するキーワードを表面的にとらえて拒否反応を示してしまうケースがあります。

この問題も、「企業結合」や「のれん」というキーワードに引っかかって、減損会計の問題ではなく企業結合の問題と捉えてしまった可能性が考えられます。

ただ、日商簿記1級の問題では、一見してキーワードと思える内容と本質的に問いたい内容が異なる可能性も十分にあります。また、そうでなくてもキーワードとは関係ない内容で部分点を稼げる可能性があるケースも多数あります。

それにもかかわらず一瞥して諦めてしまうのは、講評にもあるとおり“もったいない”ことだと思いますので、時間配分の関係でスルーするとしても、もう少し問題文をよく読んで、本当に問われている内容や部分点が稼げる問を探してみることも考えてみましょう。

工業簿記について

第149回日商簿記1級の工業簿記では、工場独立会計(本社工場会計)の月次決算標準原価計算を融合した問題が出題されました。
第140回の工業簿記に類似した問題とも言えます。

会計学の部分でも述べましたが、この問題は本社工場会計という側面に面喰ってしまった受験生が多かったのか、
できている答案とそうでない答案とで差がありました。受験者の不得意な分野であるという印象です。
という講評を残しています。

また、日商簿記1級レベルになると、複雑な計算が多くなるせいか(もしくは2級の時から苦手なのかもしれませんが)、勘定記入の学習が疎かになっていまうケースがあるようで、この点も講評で、
勘定記入は工業簿記の基本ですから、できなかった受験者はぜひ復習しておきましょう。
と触れています。

せっかく計算ができても、「解答要求が仕訳や勘定記入だから答えられない」というのは非常にもったいないことです。

基本的なルールは3級から学んできた商業簿記の勘定記入のルールと変わりませんので、不安な方は今一度確認しておくことをお勧めします(全経簿記上級も受験予定の方は”特に”です)。

原価計算について

最後に原価計算です。

第149回日商簿記1級の原価計算では、問題1で価格決定と原価計算に関する問題、問題2で原価の分類に関する選択問題が出題されました。

問題1に関しては比較的新しい分野からの出題、問題2に関しては主に2級の工業簿記で学ぶレベルの内容であったため、今回の問題については比較的高得点を獲得できた受験生が多かったようです。
ただ、
問題1が高得点の受験者の中には、問題2を苦手とする方が少なくない一方、問題2で高得点をとった方が問題1で得点できていないという現象が見られました。
と、講評に書かれています。

伝統的な原価の分類に関する内容も、戦略の策定と原価計算との関係性という新しい分野に関する内容も、バランスよく学習することを心掛けたいものです。

最後に

第147回の5.9%という低い合格率の反動だったのか否かは分かりませんが、第149回の合格率は13.4%と、10%前後の平均的な合格率と比べるとかなり高い合格率(13%を超えたのは2011年の第129回以来)となりました。

過去の合格率に振り回されても仕方のないことではありますが、これまでの受験生の解答状況と出題者が期待する理解度のギャップを「講評」で確認することは、きっと試験攻略の大きなヒントになるはずです。
学習の合間にでも、全文を一度読んでみてはいかがでしょうか。

OTHER ENTRY この記事を読んだ人がよく読んでいる記事

SERVICE 自社サービス