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2019年6月以降の日商簿記3級を受験する方へ



大きく変わる2019年度の日商簿記3級

昨年の2018年4月2日、日本商工会議所より「平成31年(2019年)度以降の簿記検定試験出題区分表の改定等について」が公表され、平成31年(2019年)度以降の簿記検定試験の変更点が明らかになったときに“2019年度(平成31年度)から日商簿記3級はこう変わる”というタイトルで、日商簿記3級の試験内容がどのように変わるのかをご紹介しました。

この度の変更は、日本商工会議所の改定資料の『基本的な考え方』の中にも次のように述べられており、
このたびは3級を中心とした見直しを行い、簿記検定試験が現代のビジネススタイルの変化により適合し、実際の企業活動や会計実務を織り込んだ実践的な出題内容に進化することで、簿記の学習者のニーズに応えられるよう、出題内容および級ごとの出題範囲を改定することにしました。
検定試験の魅力を高めたり、検定試験の学習をされた方がビジネスシーンで活躍できるようにしたりといった前向きな目的のものです。

ただ、この変更内容をきちんと把握しておかないと、必要な内容を勉強しないまま受験するようなことや、反対に不必要な勉強に時間を浪費してしまうようなことになりかねません。

そこでこの記事では、改めて2019年度からの日商簿記3級の変更点を確認するとともに、これから簿記の学習を始めて3級に挑戦する方への注意点を簡単にご紹介したいと思います。

これから勉強を始める方は、使う教材に要注意!

テキストやテキスト準拠の問題集について

主な変更点はこの記事の後半で簡単にまとめていますが、今回の改定で日商簿記3級の内容はかなり変わります。 新たに試験範囲に加わる内容も多いため、2019年度の試験に対応していない教材ではカバーできない内容も多数生じてきます

したがって、これから日商簿記3級の試験に向けてテキストなどを買い揃える予定の方は、必ず2019年度の試験に対応したものかを確認してから購入するようにしましょう。

また、このように大幅な内容変更が行われているため、職場や学校のお知り合いから簿記の教材を譲り受けるようなケースも要注意です。
このようなご厚意をやみくもに断るのも心苦しいかもしれないので、頂くだけ頂いてしまうといった判断も必要になるかもしれませんが、譲り受けた書籍が2019年度の試験に対応したものでなければ、使用を控えた方が賢明でしょう。

過去問題集について

簿記に限らず、各種検定試験の対策では過去問題演習も非常に重要な学習の1つです。
そのため、しっかりと試験対策をするためには、今後の日商簿記検定でも過去問題を解くことが有用な勉強法であることに変わりはありません
ですが、試験範囲が変わる前の第151回試験(2019年2月実施)までは、当然ながら古い試験範囲で出題されています。

そのため、純粋な意味での「過去問題」、すなわち、実際にこれまで日商簿記3級の問題として出題された内容をそのまま解いたとしても、新しく3級の範囲になった内容と巡り会うことはありませんし、反対に2019年度の試験から範囲外になってしまった問題に頭を悩ませてしまう可能性も考えられ、学習効率がかえって低下する危険性が大いにあります。

ネットスクールの『未来のための過去問題集』(2019年度試験向けは2019年3月下旬発刊予定)では、そうした問題点を考慮し、試験範囲外になった内容を新しく試験範囲となった内容の予想問題に変更することで、新しい試験範囲に対応した形で過去問題演習を行えるようになっています。

この点についても、これから日商簿記3級の学習をされる予定の方は注意が必要で、可能な限り『未来のための過去問題集』のような新しい試験範囲を考慮した過去問題集を使うことをおすすめします


2019年度からの日商簿記3級の主な変更点

さて、では具体的に日商簿記3級のどのような内容が変更となるのか、簡単にご紹介しましょう。
(詳しい改定の趣旨について知りたい方は、「2019年度(平成31年度)から日商簿記3級はこう変わる」という記事もご覧下さい。)

対象が個人商店から株式会社へと変わることによる変更点

これまでの日商簿記検定では、3級が個人商店(個人事業主)、2級以上が株式会社を前提とした出題となっていましたが、検定試験の役割として株式会社の重要性の方が高いといった理由から、3級も株式会社(ただし小規模な会社)を前提とした出題に切り替わることになりました。

その結果、個人商店を前提とした以下の内容は日商簿記3級の内容から外れることになります。 <個人商店特有の学習内容>
  • 追加元入、引出の処理(引出金の処理を含む)
  • (店主個人の)所得税の処理
  • 当期純損益の資本金勘定への振替え


その代わり、以下に挙げる株式会社会計の基本的な項目が新たな3級の出題範囲に加わることになります。
  • 株式会社の設立
  • 増資
  • 当期純損益の繰越利益剰余金への振替え
  • 利益(繰越利益剰余金)配当と利益準備金の積立て
  • 法人税・住民税・事業税の処理

また、これまでの3級試験では個人商店を前提にしていたため、個人事業主の確定申告に合わせて12月決算の問題が前提となっていましたが、今後の3級試験は株式会社を前提とするため、株式会社では一般的な3月決算の問題が基本となることも明言されていますので、月数を数える問題でも注意が必要になりそうです。

このほか、日商簿記3級の試験範囲から削除される内容

2019年6月の試験から、以下の内容が日商簿記3級の試験範囲から除外されます。
  • 有価証券の処理(⇒2級以上へ)
  • 手形の裏書と割引(⇒2級以上へ)
  • 当店発行商品券の処理(⇒1級へ)
  • 減価償却の直接法による記帳(⇒2級以上へ)
  • 仕入・売上の値引
  • 消耗品の購入時資産計上処理
  • 繰越試算表

仕入・売上値引」と「繰越試算表」に関しては、実務での重要性などを鑑みた結果、日商簿記検定の試験範囲そのものから除外されることになったようで、級に関係なく学習する必要はなくなります。 (ただし、これはあくまでも日商簿記検定に限った話です。全経簿記や全商簿記などほかの簿記検定については、それぞれの試験範囲を確認するようにしましょう。)

また、その他の内容については2級以上の試験範囲に移った形となっており、とりあえず3級で学習することはなくなりますが、3級合格後に進級した場合には学習することになります。

このほか、日商簿記3級の試験範囲に加わる内容

前述の株式会社前提となることによる出題範囲の追加以外にも、昨今のビジネスシーンの実態を踏まえて、重要性の高い内容が3級の出題範囲に加わることになります。

主な追加項目は以下のとおりです。
  • 複数の預金口座を開設している場合の預金の管理
  • 差入保証金(店舗を借りる際の敷金など)
  • 電子記録債権・債務
  • クレジット売掛金(クレジットカードによる販売)
  • 固定資産台帳
  • 法定福利費
  • 消費税(税抜方式)
  • 月次決算

消費税クレジットカードを使った取引、従業員を雇ったときの社会保険料や厚生年金などといった法定福利費の処理は、現在のビジネスシーンや企業会計では当たり前のようになりつつある内容となっています。

こうした内容がこれまで2級以上の範囲となっていましたが、今回の改定で「より実務に即した実践的な内容」となるよう3級に加わることで、早いうちから実務で役に立つ内容が学べることになります。

しかし、列挙した数を見てお気づきのとおり、3級の範囲から除外された項目よりも加わった項目の方が多いことから、多少の負担増になる可能性も考えられます。
(どれ位の難易度で出題されるのは、実際に6月以降の試験を見てみないと断言はできないので、あしからず…)

最後に

日商簿記3級の試験は、毎年およそ30万人の方が受験され、はじめて簿記を学ぶ方が最初の目標として設定されることも多い試験です。

それ故に、試験範囲を変更するとなるとその影響はかなり大きなものとなりますが、それでも変更に踏み切ったというのは、それだけ日商簿記検定の主催者も「実務に即した内容にしたい」という強い想いがあってのことでしょう。

ただし、こうした変更が「初めて学習する方が受ける試験」を対象としているため、何がどう変わったのかが伝わりにくく、また、それを知らずに学習を始めてしまうという危険性があるのも事実ではないかと思います。

もし、この記事をお読みになった方の周りに「これから日商簿記3級の勉強を始めるんだ」という方がいらっしゃったら、「日商簿記3級の試験範囲が次の試験から変わるけど、テキストとか大丈夫?」と教えてあげることも大きなサポートになるはずです。

主催者である日本商工会議所はもちろんのこと、日商簿記検定対策の講座を運営している各種学校、書籍を刊行している出版社もアナウンスをしていますが、それだけでは情報が届かない方がいらっしゃるかもしれませんので、この記事を読まれた方も、周囲にこれから簿記の勉強を始める方がいらっしゃったらこのことを教えてあげると、きっと喜ばれることでしょう。

サクッとうかる日商3級 商業簿記 テキスト

  • 製造元:
    ネットスクール株式会社
  • 定価:
    1,200円(税抜)
  • ISBN:
    978-4-7810-1323-7

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