お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

建設業経理検定制度に関する懇談会の提言について



2019年5月24日、建設業経理検定を主催する建設業振興基金の公式サイトにて「建設業経理検定制度に関する懇談会の提言書」が公開されました。

※提言書の概要版及び本文については、建設業振興基金のホームページにて公開されています。詳細は下記リンクをご覧ください。

これは、2018年6月に設けられ、2019年5月まで計6回開催された「建設業経理検定制度に関する懇談会」における内容をとりまとめ、建設業経理士及び建設業経理事務士に求められる知識や役割等についての整理・検討や、これからの時代のニーズに合った資格の在り方などが示されたものです。

試験制度や出題範囲の見直しが確定しているわけではなくあくまでも「提言」という格好をとっていることや、試験制度・試験範囲の見直しには一般的に相当な(数年単位の)準備・周知期間が必要であることを考えることなどを考えると、実際に試験勉強や受験にどのような影響が出てくるのか、いつ出てくるのかは未確定な要素が多いのですが、学習面だけでなく、試験合格後のメリットなどについても記載されているため、受験生にとって特に重要と思われるポイントをいくつか一緒に見ていくことにしましょう。

出題範囲の見直しについて

現在進行形で受験勉強中の方はもちろん、これから受験を検討中の方にとっても、最も気になるのは出題範囲への影響ではないでしょうか。

会計基準の変更による見直しのほかでは、2009年ごろに1級・原価計算の出題範囲に特殊原価調査(意思決定会計)が加わって以来、建設業経理士試験では大幅な出題変更の見直しは行われておりません。

しかし、提言書の中では具体的な例として

1級の出題範囲である「リース取引会計」、「税効果会計」、「連結会計」、「JV会計」については、建設企業の実務上、2級に繰り下げて良いと思われる。
と示されており、日商簿記のように1級の内容の一部が2級に移すことも示唆されています。

また、前述のとおり大幅な出題範囲の見直しはここ最近あまり行われていない建設業経理士検定ですが、
近年の変化するビジネススタイルに鑑み、出題範囲の定期的な見直しが必須であるとともに、テキストの改訂や受験者への周知を考慮しながら行うことが求められる。
とも書かれており、従来とは異なり、定期的な見直しも行われる可能性が示されています。

ただし、冒頭にも述べた通り、出題範囲の大幅な見直しは、受験生並びにネットスクールのような教材の制作・講座による指導を行う側への十分な周知と準備の期間が必要となるため、具体的な時期までは明記されていませんが、すぐさま見直しが実施される可能性は低いと考えてよいでしょう。

とはいえ、これまで建設業界が収益認識に適用していた『工事契約に関する会計基準』が廃止され、代わりに2021年4月から『収益認識に関する会計基準』が強制適用となるタイミングがあり、これに伴って学習内容が変わる可能性もあるため、この時期に合わせた見直しということも考えられるのではないでしょうか。

試験合格者の確保

建設業は通常の製造業とは異なる点が多いため、原価計算や財務分析、決算書の作成を問わず、建設業特有の会計を理解した人材が建設業界では求められています。

建設業振興基金並びに全国建設業協会・各都道府県建設業協会では、将来の建設産業を見据え、建設業会計を理解した担い手確保の面で、建設業経理検定制度のPRや研修制度の拡充、工業高校における建設業経理事務士特別研修の実施など、様々な方策で建設業経理検定合格者の確保が図られています。

このような安定した需要があるからか、建設業経理士1・2級合格者が試験合格でメリットを感じることも多いようで、実際に2,018名の合格者から回収したアンケートによると、資格取得により昇進・昇給した人の割合が55.9%にものぼり、そのほかにも同僚や上司に頼られるようになったり、昇進・昇給の可能性が感じられたりといった人も加えると、資格取得のメリットを感じた人が80%を超える結果となっています。

また、その他にも約35%の合格者が外部関係者の話が良く理解できるようになったり、外部関係者からの信頼度がアップしたりといった変化も感じているようです。

国家資格ではないものの、業界全体で重要度が増していることは確実なようで、建設業経理士の資格が建設業界への就転職を希望している人はもちろんのこと、同じ建設業界の中でより待遇が良かったり自分の希望する企業への転職を考えている人にとっても、大きなアドバンテージになることが期待できる内容となっています。

登録経理講習制度の普及促進

建設業経理士1級・2級合格者には、有料の講習を受講・修了することで『〇級登録建設業経理士』という称号(有効期間5年)が与えられる登録経理講習制度が設けられています。

継続的な学習に対する便宜が図られるメリット(無料のe-Learningや実務セミナーの割引など)が与えられるとともに、単に「試験に合格して終わり」ということではなく試験合格後も継続的に学習を進めていることの証明としても活用できる制度となっています。

しかし、日程的な問題や地理的な問題で登録講習の受講が難しい合格者がいることに加え、登録講習受講者とそうでない合格者との間で待遇等に差がないケースも多いことから、この登録講習制度の普及促進が課題となっているようです。

そういった課題に対応すべく、通信講座などを活用して受講しやすくする案のほか、登録講習受講者とそうでない合格者と差別化をより明確にするか、登録講習の受講を義務化するような案も提言書の中に盛り込まれています。

この辺りの見直しも、様々な制度設計の問題、特に経営事項審査(経審)にも影響させようとすると、関係省庁等との調整を含め、相当な時間を要することになるでしょうから、すぐに変わるものではないと思われますが、長い目で注視しておく必要はありそうです。

最後に

その他にもいろいろと提言されている内容や、合格者へのアンケートに関する結果などが閲覧できるようになっていますので、興味がある方はぜひ提言書の本文も一度ご覧になることをお勧めします。

試験制度や出題範囲の変更は、受験生や過去の合格者に対して何かしらの影響は与えてしまうものです。

ただ、試験の主催団体や大学教授、企業側(建設業経理士試験であれば建設会社の経営者)の声だけでなく、試験合格者に対するアンケートの回答なども踏まえてこのような提言書をまとめて公開したうえで見直し検討するというのは珍しく、業界全体の関係者全員にとって、できる限り“より良い形”に持っていくようなムードがあるという風に読み取れるかと思います。

建設業経理検定制度がより良い形になることを期待しつつ、これから受験予定の方は建設業界でさらに活躍できるよう、頑張っていきましょう。

OTHER ENTRY この記事を読んだ人がよく読んでいる記事

SERVICE 自社サービス