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日商簿記2・3級のCBT試験実施で変わること・変わらないこと

※この記事は、2020年9月18日時点で日本商工会議所ホームページにて公表されている情報をもとに執筆しています。今後、新たに日本商工会議所より発表される情報に基づき、修正する可能性がありますので、あらかじめご了承ください。
最新の情報については、日本商工会議所の簿記検定公式サイトなどもあわせてご確認下さい。
日本商工会議所 簿記検定公式サイト


日商簿記検定2・3級のCBT試験の実施とその背景

 2020年9月18日、日本商工会議所の検定公式サイトにて『「日商簿記検定試験(2級・3級)」へのネット試験方式の追加について』が発表されました。

 ネット試験方式(CBT方式)とは、既に日商検定でも「簿記初級」や「原価計算初級」で採用されている方式で、テストセンターに設置されたコンピューターに表示される問題をその場で解き、コンピューターに解答を入力することで受験する形式です(以下、この記事では「CBT試験」と呼ぶことにします)。

 新型コロナウィルスの影響で第155回試験(2020年6月試験)が中止となり、加えて、第156回試験(2020年11月試験)も感染防止対策の関係や会場確保が困難であることを理由に、中止となる商工会議所や、定員を大幅に減らす商工会議所が続出し、多くの受験生が「そもそも受験できない」という状態となっています。

 そうしたことを踏まえ、感染症や自然災害などによる受験機会の喪失を回避する目的で、これまでとは異なり、随時受験が可能なCBT試験の実施を正式に決定したようです。

 2020年に世界的に大流行した新型コロナウィルスの影響で、「ニューノーマル」という言葉が生まれるくらい、多くの物事が急速に変化しています。
 日商簿記検定もその例にもれず、新たな動きが生まれています。

 まだ発表されていない内容も多いため、執筆時点で判明している内容のみにはなりますが、どういった点が変わって、どういった点が変わらないのかを、この記事で簡単に整理しておきたいと思います。

CBT試験の開始後も従来と変わらない点

 CBT試験が施行開始となったからと言って、すべてが変わる訳ではありません。心を落ち着かせるためにも、まずは従来と変わらない点をご紹介します。

従来通りの紙と鉛筆を使う試験(統一試験)

 CBT試験が開始されるからといって、従来行われていたペーパー試験(これを「統一試験」と呼ぶことになるそうです)が廃止される訳ではありません。従来通り、紙と鉛筆を使う試験もCBT試験と並行して実施される予定となっています。
(ただし、後述しますが、出題形式や試験時間は2021年6月試験からCBT試験に合わせて変更となる予定です。)

出題範囲(試験範囲)

 少なくとも2021年度(2021年4月~2022年3月)に実施される試験については、従来の試験範囲に即した出題がなされることが発表されています。したがって、2020年度の試験対策として出版されているテキストなどは、今後行われるCBT試験の対策教材としても、引き続き使用できる見込みとなっています。
 ただし、試験時間が短くなり、出題形式も若干の変更が予定されているため、過去問題集などの本試験形式の問題集や、本試験の解答手順や時間配分に関する記述については、今後の試験対策としては使えなくなる可能性が高いと言えるでしょう。

受験料

 受験料はこれまでと同額となっており、CBT試験も統一試験も3級は税込で2,850円、2級は税込で4,720円で受験できる予定となっています。

2021年2月28日実施の第157回日商簿記検定

 早ければ2020年12月からCBT試験の実施が予定されていますが、2020年度の3回目の試験にあたる第157回統一試験(2021年2月28日実施予定)は、従来通りの試験形式・試験時間で実施される予定となっています。

計算用紙(下書き用紙)

 CBT試験でも、A4用紙1枚の計算用紙(下書き用紙)が配布される点はこれまでと変わりません。 (ただし、試験後に回収されてしまいます。)

試験会場での受験

 試験会場が商工会議所の一室や大学ではなく、指定の「テストセンター」(2020年9月現在で全国100箇所に設置予定)にはなりますが、試験会場に出向いて受験する点は従来と同じです。「ネット試験」と書かれていますが、WEB講座のように自宅などで受験する訳ではありません

日商簿記1級試験

 CBT試験が実施されるのは日商簿記2・3級のみで、現時点で1級の試験制度に関しての変更は予定されていません。
 ただし、新型コロナウィルスの影響で第155回試験が中止になったことを受け、例年は実施されない2月試験(第157回試験)で、特別に1級が実施されることになっています。詳しくは、日本商工会議所の案内をご覧下さい。

CBT試験及び2021年度(2021年4月から)の2・3級の変更点

 では、CBT試験では何が大きく変わるのでしょうか。まずは、公式に案内されている情報から判明している主な変更点を整理しましょう。



公式発表されている実施概要から分かる変更点

CBT試験の試験日

  商工会議所が認定した全国100カ所(2020年9月現在)の「テストセンター」で随時実施される予定となっております。したがって、テストセンターの空きがあれば、自分のスケジュールに合わせて好きなタイミングで受験が可能になります
 従来の試験(もしくは従来通りの統一試験)のように、年3回の受験に合わせて勉強をする必要や、たまたま試験日に体調を崩したり、予定が入ったりしたとしても、「次の試験まで数カ月待つ」という必要がなくなります。

試験時間と出題形式(統一試験は2021年6月試験から)

 従来は2・3級ともに2時間(120分)だった試験時間が、CBT試験では3級が60分2級が90分に短縮されます。そのため、出題形式に関しても、従来からは若干の変更が加えられる予定となっています。
 また、2021年6月試験からは紙で行う統一試験もCBT試験と同じ出題形式・試験時間となるため、従来の制限時間2時間の試験は2021年2月の第157回試験をもって終了となります。

受験生ごとの問題の異同

 これまでの試験では、全国で同じ日時に同じ試験問題を一斉に解く形式になっていましたが、CBT試験では、コンピューターが受験者ごとに異なる問題を出題することになっています。
 したがって、たとえ同じ日に同じ級を知人同士で受けたとしても、別々の問題を受けることになるため、試験後に「あの問題はどうだった?」といった話はできないことになりますし、出題予想なども意味を為さなくなることが考えられます。

合格発表・合格証書

 紙で実施される従来の統一試験では、合格発表まで数週間待つ必要がありましたが、CBT試験では試験が終了するタイミングで自動的に採点され、合否の発表まで行われます。したがって、試験の終了と同時に、合格・不合格がすぐに分かる形となります。
 したがって、進学や就職で日商簿記の資格が必要な方にとっては、非常に便利になることが予想されます。
 また、CBT試験では合格者に「デジタル合格証」が即日交付されることが発表されていますが、その詳細に関しては、この記事を執筆している時点では不明となっています。

簿記初級や原価計算初級を踏まえて予想される変化

 既に公式発表されているCBT試験の概要から判明する従来からの主な変更点は上記のような内容となります。
 ただ、同じ日商簿記検定のうち「簿記初級」や「原価計算初級」が既にCBT試験形式で実施されており、同様の形式・システムである可能性が高いことから、正式には発表されていませんが、次のような変化も想定されます。 過去に簿記初級や原価計算初級の受験した経験から予想される受験生側の変化についても、簡単にご紹介します。
(参考記事)

試験問題・計算用紙が持ち帰り不可

 ウェブサイトでは「計算用紙は回収」としか書かれていないので、計算用紙が持ち帰れないことは分かりますが、問題用紙については言及されていません。しかし、問題はパソコンの画面に表示されるのみであれば、問題用紙というもの自体が存在しませんので、問題用紙も持ち帰ることはできません。  したがって、従来のように「問題用紙に答えを書き込んだり、下書き用紙のメモを見たりしながら復習や自己採点」といったことはできないと考えられます。そうした形式であるため、試験後の復習や振り返りは従来よりも困難になることが考えられます。

問題用紙へ書き込み不可

 紙の試験では問題用紙に計算過程の数字を書き込んだり、処理済みの内容にマークを付けたりすることが可能ですが、画面上にしか問題が表示されないCBT試験では、そういった工夫ができなくなります。  計算用紙(下書き用紙)は従来通り使えるようですが、まっさらな計算用紙にメモをするのと、既に情報が書かれている問題用紙にメモをするのは大きな違いがありますので、問題用紙にメモができなくなることによる解答そのものへの影響も多かれ少なかれ生じることが考えられます。

視線の動き

 紙の試験の場合、問題文や資料が書かれている問題用紙、メモをする計算用紙、答えを記入する答案用紙、そして電卓がすべて机上に並ぶため、基本的にはずっと下に視線をやることで解答を進めることができます。
 しかし、コンピューターを使うCBT試験の場合、問題文と解答欄がパソコンの画面上へと位置が変わるのに対し、計算用紙や電卓は机上のままということで、試験に必要なものの場所がバラバラになります。
 加えて、解答の入力がキーボードとなると、視線の動きは従来の試験よりもかなり大きくなるため、電卓やキーボード・マウスの操作に慣れていない人は、視線の動きで苦労する可能性も考えられます。

最後に

昭和30年代から実施されている日商簿記検定が、(新型コロナウィルスの影響ではありますが)2020年に大きな変化をとげようとしています。
サンプル問題などまだ明らかになっていないものもある上に、そもそもの変化があまりに大きなものであるため、すぐに明確な案内やアドバイスができないかもしれませんが、明らかにものから徐々にご案内を続けていく予定です。

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