
新幹線の新車っていくら?
※この記事は、過去にネットスクール株式会社が『有報教育研究所』というサイトに向けて執筆したコラムを、最新の情報で書き直したものです。
有報で気になるものの値段を調べてみよう
有価証券報告書(有報)には、企業が持っている資産の内容も載っています。 詳細な記載がある企業では、有報を見ることで、実はいろんなモノの値段を知ることができます。その中で今回は、いまや身近な存在である「新幹線」の車両の値段についてみていきましょう。
JR西日本の有報で新幹線のお値段を
山陽新幹線N700Aのお値段は?
見ていく有報は、西日本旅客鉄道株式会社(以下、「JR西日本」)の有報です。 2015年4月1日から2016年3月31日までの期間(第29期)に関する有報の終了の直前に【有形固定資産等明細表】という表があり、1年間の土地や建物、機械といった有形固定資産の増減が詳しく記載されています。
新幹線の車両も、JR西日本にとっては重要な有形固定資産の1つです。新しい車両を導入したら、主な有形固定資産の増加として、この表に記載されることとなります。
見ていくと、注意書きの中に「車両新造工事(N700A 64両) 18,812百万円」と書かれています。 700Aと言えば、東海道・山陽新幹線を走る最新鋭の新幹線です。これを64両新たに導入するのに188億1,200万円かかったことが分かります。
単純に割り算すると1両あたり約2.9億円、一般的な東海道・山陽新幹線の編成である16両編成を想定すると、1編成あたり約47億円ということになります。
北陸新幹線のW7系のお値段は?
ちなみに、JR西日本はこの1年前にも新幹線の新車を大量に導入しています。記憶にも新しい、北陸新幹線の開通にともなう新車両の導入です。さて、この北陸新幹線ですが、上越妙高駅から終点の金沢駅まではJR西日本が運行を担当しています。
北陸新幹線の開業が2015年3月13日ですから、今年作成された2014年4月1日から2015年3月31日までの期間に関する有報から、北陸新幹線に関する情報も本格的に記載されたことになります。

この有報を見ると、「車両新造工事(W7系 120両) 32,811百万円」と、北陸新幹線開業で新たに運転を開始したW7系120両を328億1,100万円かけて導入したことが分かります。
16両編成の東海道・山陽新幹線とは異なり、北陸新幹線は12両編成で運転されているそうです。ということは、単純に割り算すると1両あたり約2.7億円、1編成あたりでは約33億円ということになります。
北陸新幹線のW7系と東海道・山陽新幹線のN700Aを比較すると、1両あたりのコストはN700Aの方が2,000万円ほど高いということになります。
まとめと留意点
なお、あくまでもこの計算は有報から分かることだけを抜き出して単純計算をしたものです。新幹線はすべて同じ車両がつながっている訳ではなく、1編成の中に運転席の有無、お手洗いの有無、グランクラスの有無など様々な違いのある車両が混在しているので、実態とは少しズレがあるかもしれません。ただ、こうやって「いくらくらいで作られたものかな」と思いながら新幹線に乗ってみると、また違った発見があるかもしれませんね。