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日商簿記の過去問題集が『パタ解き』ではなくなった理由(わけ)

かつての過去問題集『出題パターンと解き方』

『パタ解き』とは?

かつてネットスクールでは、日商簿記検定対策の過去問題集として『出題パターンと解き方』シリーズ、通称『パタ解き』を、2015年2月に実施された第139回試験対策版まで長年刊行してまいりました。 パタ解きイメージ 途中、答案用紙のコピーのしやすさや持ち運びのしやすさなどを考慮して判型を変えるといったリニューアルも行いつつ、多くの日商簿記受験生の方の間でも『パタ解き』の相性で読んで頂き、過去問題対策の定番書籍としてご愛顧いただいておりました。

『パタ解き』の想い

簿記に限らず、資格試験を勉強する際に「過去にどんな問題が出たのか」ということは非常に気になることですし、気にすべきことでもあります。
ただ、本当に気にすべきことは単に「どんな問題が出たのか」ではありません。
本試験で出題された問題のレベルを確認して、そこから現時点での実力を逆算し「合格までに何をすべきか?」を明確にすること、そしてやるべきことを実行することです。

簿記は単なる「知識」を身に付ける学問ではなく、実践的に使う「技術」も身に付ける必要があるため、その「技術」の習得も簿記検定の合格に必要なプロセスとなります。
簿記の場合、覚えた年号や人名等がそのまま解答に反映される社会科の科目などと違って、「問題の資料をこのように整理する」「集計した結果をここに記入する」など“解き方”を疎かにすると、受験生が思っているよりも点数は取れないものです。
―『出題パターンと解き方 過去問題集』前書きより
これまで学習してきた「知識」を効率的に点数へと変える「技術」の習得のためには、同じパターンの問題を繰り返し解く『パターン学習』が効果的であるとして、過去問題を利用した『パターン学習』ができる問題集として、この『パタ解き』が誕生したという背景があります。

『パターン学習』の功罪と出題傾向の変化

この『パターン学習』は、本試験で効率的に得点できるための学習法として大きな成果を上げてきました。
しかし、その副作用として、「試験で出題された問題を自分で読み取って理解したり考えたりするのではなく、過去のパターンに当てはめようとする」という傾向を受験生に与えてしまったようです。

本来、『簿記』という学問は現実のビジネスで起こった取引の状況を読み取って、仕訳という形に変換して記録しながら、その記録を計算・集計して、財務諸表を通じて報告するプロセスです。
現実のビジネスでは定型的な取引も多いのですが、その詳細は業界や会社の慣行によっても異なりますし、外部環境の変化で新たなビジネスや取引もどんどんと生まれてくる昨今では、自分で状況を読み取って理解するという思考力が重要となってきます。
それにも関わらず、過去のパターンに当てはめることだけを考えることは本来の「簿記」の学習とも言えないということなのか、日商簿記検定ではパターンに当てはめるだけの受験生が解答しづらい問題を出題するようになってきました。
短文の問題条件を精算表の科目欄に機械的に転記するような単純なパターン学習に慣れてしまっているせいか、問題文を読みとってこれを正しく仕訳する仕訳力が欠けている傾向が見られます。取引として示された内容がどのような勘定科目に影響するかを判断して、適切かつ迅速に仕訳できる能力を養うことを、学習者および指導者の方々にご留意いただきたいと思います。
―『第138回日商簿記検定2級 出題の意図・講評』第3問 講評より
簿記上の取引とは、資産・負債・資本(純資産)・収益・費用に変動をもたらす事象のことをいいます。問題文を素直に読んで、例えば、資産Aが減少して資産Bが増加する、さらに資産Bが減少して資産C(または費用D)が増加するというように考えれば解答に到達できたはずです。結果を見ると、仕訳練習を通じてこのような思考の訓練ができた受験者と、問題文中の数字を解答欄のどこに書き写せばいいのかを記憶するようなパターン学習になってしまった受験者とで大きく差がついたようです。
―『第139回日商簿記検定2級 出題の意図・講評』第1問 講評より

このように日商簿記検定の講評でも読み取れる通り、『パターン学習』のみを重視する学習する姿勢の弊害とその姿勢を改めることを促すような出題傾向の変化があったことから、第139回試験対策版を最後に、ネットスクールの日商簿記検定対策過去問題集から『出題パターン』という表記を除くこととし、多くの受験生の方にご愛顧いただいていた『パタ解き』という愛称とも決別することにしました。

出題区分の大幅改定と『未来のための過去問題集』刊行

3年がかりの大規模な出題区分の改定

既にご存知の方が多いかと思いますが、日商簿記検定の出題区分は平成28年度から平成30年度にかけて、大規模な改定が行われている最中です。
これは、現在のビジネス慣行に照らした上で、重要性の高い内容は下位の級の出題内容にも含める代わりに、重要性の低い内容を出題内容から取り除く改定です。
簿記改定情報サイト(日商簿記検定公式サイト)

どうしても新たに加わる内容の方に注目しがちですが、その裏で、以下のような内容は実際のビジネスシーンでの重要性が低くなったとして、今後は出題されないことになっています。

3級試験で出題されなくなった主な内容

  • 為替手形の処理
  • 売買目的有価証券の時価評価

2級試験で出題されなくなった主な内容

  • 特殊商品売買
  • 社債の発行に関する処理
  • 本支店会計における未実現利益の処理

いずれの内容もこれまでの本試験で頻繁に出題されていた内容であるため、過去に出題された本試験問題を従来通りそのまま収載すると、上記のような「出題されなくなった内容」がそのまま残る上、「新たに出題されることになった内容」は全く登場しない過去問題となってしまいます。

そこでネットスクールでは、このタイミングで『過去問題集』をリニューアルし、『未来のための過去問題集』を刊行する運びとなりました。

『未来のための過去問題集』の特長

未来のための過去問題集 『未来のための』と名前が付いているとおり、これまで出題された試験問題を単に集めた『過去問題集』ではなく、出題されなくなった問題は削除し、その代わりに新出題範囲からの予想問題を収載しております。

「もう出題されなくなったから解かなくてよい」問題は一切ありませんので、思う存分解いて頂いて、これから実施される日修簿記検定に向けた実力UPを図ることが可能になっています。
最新の2017年度対策版では、今年度から2級の新範囲となる内容のうち『リース会計』や『外貨換算会計』、『連結会計』も適宜収載しております。
※ただし、日商簿記2級の「連結会計」に関しては第147回(2017年11月)試験から出題されることとなっていますので、第146回(2017年6月)試験対策としては解く必要はございません。

また、出題されなくなった内容の代わりに収載した新範囲の問題は、可能な限り昨今の日商簿記検定の意図を汲んだ「思考力」や「判断力」を問うような問題としています。
最近、日商簿記検定試験が変わったと言われています。それは単に試験範囲が変わることを指しているのではありません。変わったのは「本質重視型」の試験になってきていることです。
「合格したが役立たない」試験だ、と言われることは資格試験の主催者にとって一番不本意なことでしょう。
それでは、役立つ知識とは何かと言えば、実務に即していて、何かの問題に直面したときの判断を養えることが挙げられます。
(中略) 合格者を一定数輩出することよりも大切なことがあると言わんばかりの出題内容にシフトしています。
このような状況の中、ネットスクールとして何ができるのかを真剣に考えて、この『未来のための過去問題集』を刊行するに至りました。

―『未来のための過去問題集』「はじめに」より
冒頭でも申し上げた通り、本試験で出題された問題のレベルを確認して、そこから現時点での実力を逆算し「合格までに何をすべきか?」を明確にすることは資格試験の合格に向けて大切な要素となります。本書は必要に応じて改題を行っていますが、この大切な要素を実現することは可能なものとなっています。

単なる『過去問題集』ではない部分に戸惑われるかもしれませんが、これからの日商簿記検定を見据えた内容になっていますので、これから日商簿記2・3級を学習される方の合格の一助となれば幸いです。

日商簿記2級 未来のための過去問題集 2017年6月・2017年11月・2018年2月対策

  • 製造元:
    ネットスクール株式会社
  • 定価:
    1,944円(税込)
  • ISBN:
    978-4-7810-2225-3

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